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Kamomosi 最終回

最終回

さて、なにから話せばいいのか。

哲学者、アウグスティヌスの言葉から

世界は一冊の本だ。世界を旅しない人は、ほんの1ページしか読んでないのと同じである

僕はこの6年で何ページ進んだのであろうか?

スタンプラリーの様な旅行には興味がなく、有名どころに行きたいという欲もなくなってしまった。この旅で得たものは2つ半の言語と外国で暮らすという経験であった。それは常に迷いつつもすべてを決められるという、とんでもなく贅沢な時間でもあった。

不思議の国のアリスから

アリス:「どっちの道に進めばいいのか教えて」

猫:「それは、君が行きたい場所次第だね」

アリス:「行きたい場所なんてないわ

猫:「それなら、どっちに進むかは重要なことじゃない」

旅のはじめから僕にとって行きたい場所などなかったことに気がついた。僕が求めていたのはまったくそんな事ではなかったのだから。

僕が未だに成長へと続く道の半ばにいるのなら常に困難に身を置くしかない。考え込んでしまっても、それが目の前の壁を壊してくれたことはなかった。「こうしたらどうなるか」とやってみること。不安を振り払って前に進むことでしか、答えを見つけることは出来なかった。自分がやりたいことを明確にすれば良い。ただそれが難しかった。やりたいことをやる権利がある。しかし社会からの期待や意見が邪魔をした。僕の自信というエネルギーを奪い去った。ブログの中で自分と対話する時間を持てなければ自身を見失っていただろう。

ブログは僕の日記でもあった。しぼりたての気持ちを、そのまま記録できるそれは、不安を感じたときの道しるべとなった。

この旅でのすべての出来事、出会ったすべての人は、何かしらの気づきを与えてくれた。宿の客も貴重な教訓を与えてくれる、学校のようなものでもあった。そうした旅のカケラを集め記録したことで、このところ僕の自信は再び結晶化し、やりたい事が明確になってきた。

わけのわからない同調性やくだらない理想主義、世代格差と社会問題を一緒くたにして逃げ回る。文句ばかりを言う小賢しさがよく見える様になり考え方がシンプルになった。相手にするべき人とそうでない人が明確となり、ムダな事に費やす時間がなくなった。

七人の侍から

三船敏郎が演じる菊千代が「こんなロクデナシを救う価値が本当にあるかだと?」「やい!お前たち!一体百姓を何だと思ってんだ?仏様だとでも思ってたか?ん?笑わせちゃいけねえや!百姓くらい悪ずれした生き物はねえんだぜ!」「百姓ってのはな、けちんぼで、ずるくて、泣き虫で、意地悪で、間抜けで、人殺しだ!」

社会の善き一員でありたいという思いは、僕を悩ませた。貧困に近いところでの暮らしは驚きに満ち、僕の好奇心をどこまでも掻き立ててやまない。僕はグアテマラという国が心底嫌いだ。根本から違う価値観に晒され、嫌な事ばかり。騙され、殺され、恨まれ、泣かれた。しかしそれはまごう事なきリアルでもあった。逃げることも出来ず、向き合うことでしか生きていけないこの国での暮らしは今でも僕を驚かせ続けている。ここでの暮らしが僕を変えた。受け入れ、突っぱね、我を通し、通される。それは人としてのたくましさとして僕に跳ね返った。倫理観の大きく異なる暮らし方は旅行というイベントとは相容れない事もあるのだ。光を観ると書いて観光と読む。旅の者はその国の光だけを見てもらいたい。僕はもう少しクサ()と陽()が落ちたこの国で同じ毎日を過ごすことにする。

最後に

拙いブログをこれまで読んでいただきありがとうございました。気がつけば小煩く説教くさいジジイだと言われる様になっていました。なるべく宿ではそうならないように大人しくしておりますのでくれぐれも好奇心半分に突かれたりなされない様お願いを申し上げます。

若い方々のためにすべて情報はノートとグーグルマップに記載しております。お聞きになりたいときはどうぞご遠慮なく。でも僕の答えは決して皆様が求められているものではない事もご承知おきください。

また、いつの日か

HIDEKI

CASA DE KAMOMOSI にて