月別アーカイブ: 2019年10月

日々雑思 サービスにないことはやらないこと

宿の案内をこれまで聞いたこともないやり方に変える。なんでもグーグルを利用して周辺案内を作りQRコードとやらを使って誰もが見られるようになるという。ここに書いておけば誰もが好きな時に好きな情報だけを得ることが出来るので、公平性が保たれ苦情に繋がりにくくなる。情報ノートの代わりにもなってよろし。

そもそも親切心からやっているサービスがいけないと言われ、まったくわからなかったが、いろいろ聞いてなるほどと感心してしまった。

例えば蚊に刺された足を見て気の毒に思い薬をあげる。その時は感謝されるのだけれど、違う客が同じように刺されていても僕が気がつかなければその人にはなにもしてあげることが出来ない。しかし、もし、薬をもらった本人がふとしたことから薬をもらったことを言ってしまったとする。するともらわなかった者は不公平だと感じてしまうことがないとも限らない。そうなることを防ぐには事前にすべてルールを決めてそれに従うことが肝要であるという。なるほど、言われてみればたしかにそうしたことが多いような気がする。

それでも、自分の子供のような年齢の旅人が困っているのを見るとどうにもほってはおけない。性分なのだ。だいたい成人しているのであるから子供扱いが失礼にあたることも承知している。僕自身これまで随分と人様に助けていただいてきたが恩人に恩を返すことは叶わなかった。以前世話になった方からお前が人の世話を焼けるようになった時に返せばよい。今はありがたく受け取っておくものだと諭された。そうでありたいと願ってやまない。この2つの相反することを実現して、苦情もなくすことなど出来ないことがジレンマとなる。

人様の助言は聞くものでもあるので、今回は素直に聞いてみてダメならまた違う方法をさがすことにする。早速グーグルを開き地図を作る。僕が知っていること、人様からお聞きしたことを書き記す。2日ほどで出来上がった。それをQRコード化して、新しく置いたホワイトボードに張付けた。今後は何を聞かれてもそちらに書いてありますと言えばいい。素っ気なくはなるけれど公平性が増すし、怖がらせることもない。宿の説明書も作る。こちらは手書きでルール、注意書き、使用説明とお願いを書く。仕事に見合うものは有料化してサービスではなく代金をいただいて仕事としてやることに決めた。

言われるに、十分なクオリティがあり客が満足しているのであればよいとのことなので、素直に従ってみようとなった。スペイン語の留学相談、日本語によるレッスン、コーヒーツアー、チョコレート作りなど有料アクティビティ化する運びとなる。課題は食事、こちらも固定メニューにしてしまった方が選択する側の自由度が広がるのでよいとのことなのだけれど、こちらはどうするか考え中。これから繁忙期になる予定ではあるので期間限定的な措置とするか今月中に考えよう。そもそも良かれと思って始めた事が足枷になってしまっていることを考えればやめてしまうこともありだと思うのだけれど。器用貧乏癖がそれを拒んでいる。そうしたことを考えている事自体がいけないのだと反省する。これでは儲からない訳だ。

他にも沢山の気づきがあったので忘れないうちに試してみようと思う。コレまではやれることをしようと思っていた。でも。やらないことはしないということも大切な事であった。この歳になってもまったく知らないことばかり。それはやる気の元となって成長の糧となってくれると信じたい。

商売とは難しいものだ。顧客目線、公平性、目的を明確にしておかねばならない。中途半端なことをやってばかりいたこの3年間、いったい自分が何をしたいのかをハッキリとさせなくてはならない時期が来たのだと知った。

日々雑思 雨季の終わりと花粉症

雨季も終盤に入り毎日のように雨が降る。午後になると裏山の頭に雲が垂れ込め、遠雷が響き出すと雨となる。湖の対岸が白くぼやけ、湖面に筋が見える。徐々にその筋がやって来る。下の方からトタン屋根を叩く音が近づいて、あっという間にに一面真っ白になるほど雨が叩きつける。家々のトタンから雨水が滝のように流れ落ち、庭も道も溢れている。稲光がパンと弾け、間髪を入れず破裂音が響く。近くに落ちた。冷蔵庫の音が消え、しんと静寂が広がる。電気が切れた。すぐに回復する事もあるし、なかなか回復しない事もある。

雨足は強くなり弱くなり波のように音を奏でる。

湖がある場所は白い絵の具で塗り潰したようになってまったく見えない。空も水も一緒くたになって境目すらない。

小一時間ほどすると、空の方からあかりが差し出す。雲が散り散りとなって対岸の山が姿をあらわす。名残惜しそうにちぎれた雲が右から左へと流れて行き、山に沿って登り、空へ帰っていった。庭の木々は少し緑を濃くして艶がある。野菜の葉は頭を垂れてしんなりとしている。庭先に出ていたカエルは慌てて草むらの下へ隠れた。枇杷の木で雨宿りしていた鳥たちが鳴き出し、葉の下からひとつまたひとつと飛んでいった。

ブーンと音がする。冷蔵庫が動き出した。電気が戻った。村のあちこちからラジオや曲が流れ出す。子供の声が道から聞こえる。

少し肌寒くなり、上着を羽織る。宿のあちこちに溜まった水を箒で払い、モップで拭く。どこかで雨宿りをしていた客が帰ってきた。夕食の支度にかかろう。今日はカツ丼にしようか。ホカホカのご飯にアツアツのカツ煮をのせて。昨日買ったジャガイモとワカメの味噌汁とタクアンを少し。

突然の悪寒と大量の鼻水。鼻の奥が腫れてぽわーんとしている。少し発熱もある。身体が気だるく、やる気が起きない。完全完璧な花粉症の症状。ここまで酷いのは日本をでて以来。昨年もなんとなくは感じていたアレルギー。ここまでひどくなるとは。原因がわからないだけにタチが悪い。杉もヒノキもない。あるとすれば草。でもそれがわからない。これだけ症状か激しいと、来年も確定なのでうんざりとした気持ちになる。

ティシュも硬く、すでに鼻は真っ赤、マスクもなし、薬もなし。目もかゆければ耳の中までかゆい。何を食べても味がしない。勉強も手につかない。宿の仕事はセシーに任せた。幸い長期滞在予定の客が急遽予定を変更して違う町に向かったので宿はいつもの静けさを取り戻している。この間になにか妙案を考えておかないといけない。それにしてもおのれ花粉め。