日別アーカイブ: 2018/04/18

日々雑思 居候、飯炊男、遠足にて

居候

レオが来て泊めてくれと言う。金がないんだが、その分手伝うからなんでも言ってくれと言う。
友人であり、家庭教師でもあり、演奏家でもあるが金がない。レオは生まれも育ちもよく教養もあるしグアテマラ人らしさがない。ただ金が稼げないので生きて行くのに難儀している。「何も言わなくともよい、泊まれ」それだけ言うとレオはモジモジしている。「飯か?」「それは大丈夫だ、考えなくていいのか?」「考える必要もない。泊まれ、いつからだ」「今日、あとで来る、ありがとう」

後でレオがやって来る。「掃除は自分でやれ、1週間に一度は必ずやれ、シーツも自分で変えろ、あとは好きにやれ」と伝えておしまい。レオはきょとりとしている。空いている部屋を貸してやり、ここにいる間に仕事を見つけ出ていけばよろし、人助けというほどのことはできないが、友人がくれば飯の一つも食わせてやりたいと常々思ってるのだ。

最近のこの宿はまるでテレビの安ドラマの舞台にでもなったかのようにいろいろあって、自分がてんてこ舞いになりながらもなんとかなっていく主人公にでもなったような気分。一度歯車が狂うと何もかもがうまくいかないように思えるけれど、実はそれが楽しかったりもするのだ。後で考えればそうなのだきっと。客もなく途方に暮れかけると1人やって来て、覚悟を決めると2人やって来る。役立たずの居候が1人くらいいても何も変わらないのだ。朝、スセリーが来る。「この男はお前の手下だ、好きに使ってよろし」と言うとレオは苦笑いし、スセリーは少し戸惑った顔をしている。いつものように、なにも変わらずに掃除を始めた。

飯炊男

客が「ここのメシは美味い、レストランをやれ」とほめる。このメシならもっと高くてもいいと言いつつ他のホテルへ引っ越して行く。メシだけ食べに来るがいいかと聞かれ、ダメとも言えず「よい」と答えると、さっさと出て行ってしまった。

客が「スペイン語をここで勉強するのはどうか」と言う。「アンティグア、シェラが安い。そちらでやればいいであろう」安いの一言でそれ以上は聞かないのでこちらもそれ以上は何も言わない。
学校をやめた先生が来て家庭教師をはじめるが場所を貸してくれと言う。空き部屋ばかりでも仕方がないので一階は貸しスペースへと変更することにした。部屋は3部屋となる。

噂で「あそこの3階は雰囲気が悪く行きにくいと皆が言っている」と聞く。何が悪いのかとんとわからない。泊まっている客に聞いてもわからないと言う。誰もいないのが不気味なのか、エレベーターがないので行きにくいのかと考えるが、わかりもしないのできっとそうなのだろう、今の人には合わないなにかがあるのだろうと諦めた。

宿の持ち主が惨状を聞きつけ、心配でやって来た。さぞ散らかしているのだろう、どうしようもない事をしでかしているのであろうと思って来たのだ。一通り様子を伺い、近所で聞き込んで帰って行った。部屋の鍵をまたもや持っていかれてしまう。なぜか皆部屋の鍵を持って行ってしまうので常に交換をしなければならない。なぜ持っていかれてしまうのであろうか。
それにしても客が来ないのは不徳の致すところ、さぞ人様に忌み嫌われる性格なのであろう。宿は人一倍キレイなのだから、原因は自分の心の汚れだ。

スペイン語だけははかどる。いつも勉強出来るので随分と良くなった気がする。本が読めるようになり。歌が歌えるようになった3曲を練習して2曲歌えるようになった。スセリーが教えてくれるのでとても楽しい。客に文法の事を聞かれ、嫌々説明すると「わかりやすい。ここで勉強がしたくなった、お前はやらないのか」と言われるが文法のことは日本語で説明しているのであって、スペイン語は一切喋っていないのだ。「お前の日本語はなかなかのものだ」とふた回りも違う若者に褒められる。まだ日本語は忘れず、人様に褒めていただけるだけましだと思うことにする。

遠足にて

パロポと言う遠い対岸の村へ行く。スセリーに同行してもらう。彼女も初めてだと言う。いつもとは違い洋服を来てやってきた。
パロポについてお土産屋の髪留めが気になっている様子だが小さいと言う。「お姉ちゃんは持っているが私には絶対に貸してくれない、とっても自分勝手だ」とボソリ。それではそれを探そうと村の中をくまなく回るがどれも小さいので、「パナハチェルで買おうか」と言うとコクリと頷いた。村は青に塗られ、大きなホテルもあり、思っていたよりはツーリスティクであったけれどスセリーとの小旅行だったのでそれは楽しかった。パナハチェルに戻り、髪留め、サンダル、シャンプーを買う。シャンプーは「テレビでやっていたものだ、ハチミツが入っていてきっとキレイになるのだ」としっかりとした目で説明をするので哀れとなり買う。カバンにシャンプーを入れると「お姉ちゃんはアボガドを塗っているのだ」と言う。8歳も歳が離れているのに対抗心を燃やしているのが微笑ましい。髪留めは茶色を選んだ、サイズも大きい、値段を聞いて「高い!」と文句を言っている。値切って20ケツアレスを15ケツアレスにする。すぐに髪に留めて使い出す。「もうお姉さんの事を悪く言ってはいけない」とさとすと素直にうなづいた。帰りがけにサンダルが目に付き、キラキラとした目で床にしゃがみ込んであれやこれやと手にとって履いている。「コレは底が天然ゴムだから丈夫でいいのだ。長く使えるのがいいものだ」と言う。「この焦げ茶はとてもよい」と言って幾らだと他の客を店員と間違えて聞いている。あっちのオジさんが店員だと言われ恥ずかしそうにしている。値段を聞いてうなだれる。かわいそうになり再び値段交渉。200ケツアレスを150ケツアレスにする。そこで「この値段は妥当かサンペドロでならいくらだ」とそっと聞くと「サンペドロなら250だ」と言うので「それならば買え」と言って金を渡してやった。お土産を入れたバックを機嫌良さそうに背負い、船着場へ向かう。こっちだと自信を持って反対方向へ行くのでついていく。「同級生と来た時は確かにこっちだった、でもわからなくなってしまった」と照れた笑いを浮かべ困惑している。迷子になり困っているところへスセリーに交際してくれと言っている男の子に気がつき僕の陰に隠れている。「とっても嫌なのに困る」とくっつくので、父親になったような気持ちになって元来た道をボート乗り場へ向かった。