日々雑思 パスポートの更新

10年も経ってしまったのかとしみじみと思う。パリを皮切りに随分といろいろな国に訪れる事の出来た10年であった。新しい生き方を見つけ、自分らしくやりたいことをやった。後悔も微塵もなく予定調和のない暮らしが性に合っていた。

パスポートの更新を海外でもできると言うので試して見ることにする。大使館に連絡し必要な書類を聞く。サイトからダウンロードした申請書に記入し印刷した。写真を撮って大使館へ。申し込みは書類を提出するだけであった。日本であれば結構待たされるところだけれど即日発行の運びとなり喜ぶ。こんなに簡単にできるとは思ってもいなかったので拍子抜けしてしまった。大使館職員の対応も親切で高慢ちきなところもこれっぽちもない。ともあれまた10年は日本に帰らずともなんとか暮らしていけることとなる。

在留届を出してくれないかと頼まれる。これまでひっそりとやってきたのだけれど観念した。届出を出すと色々とめんどくさい事になりそうで嫌だ、身分としては旅行者なので3ヶ月程で出て行ってしまうと言ってしまえばおしまい。特段の縛りがあるわけでもないので問題はないはずだけれど、大使館員の親切にほだされてしまった。登録をすると大使館からの情報が送られてくるほか、安否確認などをすることがあるのであろう。自分の所在を知られてしまったのはちょっと嫌な気持ちではあるけれど仕方がない。

色々と聞かれて全て白状する。大丈夫かと心配されたが、問題ない自分でやっているので心配には及ばないと丁寧に申し上げた。普段から安全第一で行動する政府機関の方々にはなかなか理解できないこともあるのでわかってもらえるはずもない。最近旅行者の国境でのトラブルの話などを聞かれるが、すでに国境の職員とも顔見知となってしまっているので何もないと正直に申し上げる。ここは日本ではないのでいかようにでもなる、1日で帰ってくることもできるし3日出ていても良いい。

帰りはシャトルバスを使う。最近、道が良くなりスムーズになったと聞いていたのでそれを確認するため。迂回路が出来上がり、まったく渋滞にはまることなく帰ってきた。朗報となる。

ハイウェイには山岳地に住む住人が子供を連れて出てきている。客に同行しているガイドが彼らは貧乏で困っている。道に出て物乞いをしていると説明している。さらに政府は何もしない。教育が良くない。貧困にあえぐ者たちは悲しいと言う。1人の女が止まって彼らにドネーションをしたいと言い出す。余計な知恵をつけるからそうなるのだとうんざりした。確かに金を持たない貧乏人であって馬鹿者共ではあるけれど、それほど悲惨なものではない。毎年この時期の恒例行事みたいなもので、子供達は車に手を振って金をせがむが、見方を変えれば何もない山の暮らしのイベントでもあって、それなりに楽しんでやっている。先進国であったらハロウィンの様なもの。そうした国では子供が菓子をせがんでもかわいそうだとならないのと同じだ。持つ者が持たざる者を見るときの優越感の様なものを感じてしまう。客はしきりに原因はなんだと聞いていて、内戦の話や共産主義者の話をしているがガイドも学がないので適当にごまかしているのを聞いていて墨を飲み込んだ様な気持ちになった。そんな話をしているから村に入ってからも客の目線はどこかおかしくトンチンカンなものとなってしまったが、確かに田舎だと都会から戻ったばかりの自分の目も目垢が落ちた様に見えた。

久しぶりに出た都会は眩しいほどであった。何もかもが充実して、困ることがない。欲しかったいくつかを買い、よいホテルに泊まり、美味いと言われる飯を食べた。ところがそれらはこれまでと少し異なる気持ちを作ってくれた。有名なカフェを廻っても美味しくはなく、メシはしょっぱく感じてしまう。ホテルもそれほどでもなくテレビがあり、壁にありきたりの飾りがついてるだけであった。テーブルの上にワインの小瓶がつまみの菓子と共に置かれていた。ただなのかと思ったらしっかり会計は別にしなければならない。英語で受け答えをされ、スペイン語の必要性すらない。

結局、コーヒーもメシも自分で作ったものが美味しかった。試しに戻ってコーヒーを淹れたがやはりマメも淹れ方も自分好みが一番であった。結論として自分は商売が下手なのだと悟る。

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