日々雑思 客のない宿で暮らす者

庭にトカゲが来た。ミドリ色と青色の鮮やかな15センチと茶色い10センチ。鮮やかな方がオスで地味なのはメス。オスはよく日向に出て腕立て伏せをするように体を上下に揺すっている。メスはベロを出したり引っ込めたりばかりで体は揺すらない。いつも一緒に居るところを見るとツガイなのだ。ある日、いつもと違う場所にオスがいる。石垣の上を走ってどこかへ行ってしまった。メスの方もすっかり姿がない。別れたか。

セシーと掃除をしているとき、3センチほどのネズミが2匹出た。セシーは箒を担いでとっとと逃げて素っ頓狂に鳴いている。隅に追いやって箒で叩くとチューと小さな声で鳴いて死んだ。後からやってきた3匹目も同じように死んだ。向こうの家の草むらに投げておしまい。今日は出ない。セシーはアレは子沢山だからヒデキちゃんと注意しておけと言う。どうするのだと聞くと猫飼えと一言。猫と鼠は世界共通なのだ。

部屋の屋根と壁の隙間にスズメが巣を作り、子育てをしている。部屋の中を我が物顔で飛ぶのでワーと脅かしてやると窓にぶつかって右往左往している。部屋の外に出してやった。何度もやるのでコイツはアホではないかと思うのだけれど子育て中だから怖くても逃げないのであろう。仕方ないので巣立ちまでは好きにさせてやることに決めた。立つ鳥後を濁さずと言うが、どうにも汚して困る。

寿司パーティーの手伝いに行く。犬を亡くして寂しいであろう猫を持っていけと言われる。いらぬと言ったが、今持ってくるからと連れてきてしまった。仕方なく受け取る。まだ小さいので慣れるまで一緒に寝てやろうと布団に入れてやると首元でゴロゴロいいながら寝ていた。朝、鳴くので外に出してやる。ウンチ、オシッコを済ませるとエサをくれと言う。食べ終わると椅子の下にもぐって一日中寝ている。3日目の朝、いつものようにエサをくれてる。庭で遊んでいたのを見たのが最後、どこかへ消えてしまった。やはり猫は居着かないのだと悟る。放ったらかしが悪かったのであろうか。コイツイテモツマラナイと思ったのであろうか。居ればエサはくれてやったのに。

セシーから腹が痛いから休むと連絡が入る。翌日も来ないであろうと思っていたらヒョッコリ遅刻してやって来た。「大丈夫か」「食い過ぎた」と笑っている。村の村長選で応援していた女性候補が落選したので3軒ハシゴしてヤケ食いしまくったらしい。選挙は現村長の再選であった。「隣村では選挙をめぐるケンカがあったのだ。知ってるか」「知らぬ、意外と激しいな」「あ〜ん嫌だよ〜まったく」とおばさんのような口調で言うので笑ってしまった。ここの娘達の口癖は面白い。「あ〜〜ン」と甲高く同意の気持ちを表し、「ひィーーン」と時間の長さやスピードを表す。おばさんぽくもあるし、可愛らしくもある。

朝、いつものようにカフェの墓前で祈る。

Padre nuestro que estás en el cielo. Te pido por la vida de Café que el este bien y que te lo guardes,también te pido tu consuelo para mi. Oro en el nombre de tu hijo Jesucristo. Amén.

最近は、うる覚えだけど言えるようになってきた。信心などこれっぽっちもないが、この時ばかりは神妙な気持ちとなる。カフェがお前も少しは人らしい気持ちを持てと残していってくれたのだきっと。祈りを終えた途端に近所の者が金の無心に来た。観光客が少なく、皆が枯渇し出している。うちにも客が来なくなって久しい。相手が言い終わらぬうちにムリだと追い返した。せっかく人が穏やかな気持ちになっている時に馬鹿者め。やはり根っこの部分が腐っているな、カフェ、スマン。すぐに行くから待っててくれと言いたいところだが、カフェとは行く場所が違う。待てど暮らせどはかわいそうだ。

観光客がいなくてはケーキも売れない。ひたすらに息をひそめてそっと暮らす。

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