日々雑思 単調な日々にも 

竹垣を編む。3階の竹垣が経年劣化で紐が切れてぶらついてしまっている。ここでの暮らしは常に何かの修理に追われていて、毎日やる事が尽きない。頼んだ仕事が雑、クオリティが低いのが原因。自然環境なら日本の方が断然厳しい。冬の寒さ、台風、夏の暑さ、季節が変わるということは厳しさの表れでもあるのか。それを補って余りある日本の技術や製品はやはり素晴らしい。

針金を買ってきて一本一本編み上げていく。力もいるし、長い針金は扱いが悪い。客に見える場所なので手が抜けない。見てくれも悪くないように根気よく続ける。1日で出来なくてもいい。ここには時間がある。急かされない。身の丈にあった過ごし方でいい。

ズンバで痛めた肩はようやっと良くなってきた。どうやら50肩ではなさそうで、ホッとした途端に自信めいたものが湧き出した。背中を鏡で見てちょっとニンマリした。のっぺりとした肉の塊だったのがいつのまにかボコボコと減り張りのある背中に変わっている。腹から腰回りにどっしりと居座っていたブヨブヨがスッキリしている。継続は力なりと呟いた。踊りがこんなに効果があるとなぜもっと早くに気がつかなかったのか。まだまだ知らない事がたくさんあることは励みになる。

朝食を食べているときセシーがなぜヒデキは太らないのだと聞いてきた。確かに最近は痩せる一方で太る事がない。たいした仕事もなく、週3回の踊りが唯一の運動。日本にいるときに食べていたものは気を使ってはいても相当量だったのだろう。酒も飲んだ。ここに住み着いてからまったく酒を飲まなくなった。夜間病院のないこの村では何かあれば遠くまで客を連れていかなければならない。酔っ払っていてはそれもおぼつかないので飲むことをやめた。日によくあたり肌をさらす。夜の冷えにもすっかり慣れて寒さにも肌をさらす。色が黒くなりグアテマラ人と大差がない。セシーが「ワタシはドウダ」と変なことを言う。ジッと見て「イマクライデ チョウドヨイノデハナイカ」と答えると安心したような顔になりニッコリと笑った。少しポッチャリとした体型はここ特有。森から出てきたような顔ではあるけれど愛嬌がある。あと数年もすれば立派な貫禄がつくのであろう。可笑しくなって笑っていると怒った顔になり睨まれてしまった。

カフェと散歩に出かける。湖に向かうとわかるとご機嫌になりサッサと先に進んで行ってしまう。けれど角角では立ち止まってこちらを振り返っている。草むらでウンコを済ませると身軽になるのか決まって勢いよく走り回る。湖に着くと真っ直ぐに水に入って泳いでいる。ブフブフと鼻を鳴らして気持ちよさそうに泳ぐのを岸に立って見ているとこちらに戻ってきて足元でブルブルと体を震わせるのでこちらまでビショビショになってしまう。砂浜に体をこすりつけ砂だらけになって益々テンションが上がるのか制御不能となってしまった。1日中家に居て、唯一の楽しみであろう散歩をどれほど待っているのだろうか。毎回やる事は同じで飽きもしない。それだけに小一時間の楽しみを奪ってしまうことは出来ないなぁと毎回思う。

単調に思える日々の暮らしは実はとても贅沢で、思いの外変化もある。1人作業をする時間がいい。女中とのたわいのない会話も楽しい。地元の女衆に混じって踊り、汗を流す。カフェと散歩する穏やかな時間。どれもがとても贅沢なことに気がついた。自分の中にある日本での暮らしとは比べようもないのだけれど、今日の心配事もなく、将来に対する不安もない暮らしが出来るようになっている自分がいた。もう少しこの暮らしを続けるのも悪くなさそうだ。

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