初めてのバイク旅行はこんなだった

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ある日

オートバイで初めての旅は2000キロ以上。スピードと身一つ、むき出しで走る怖さ。風の強さと冷たさは、たまったものではなかった。SAのたびに休憩をしては、一通りの名物らしきものを物色する。西へ行くとカツ丼の卵とじはキャベツとソースに変わり、練り物の名前が天ぷらと変わった。人々の声は甲高くなり、語尾に「ら〜」「がね」「やったんかぁ」などと余計なものが付いてくる。おばさんはオバチャンからオバハンと呼称が変わり、飴玉をポケットに忍ばせている気配が濃厚になった。

トンネルの中は空気は悪いが、風がなくなり走りやすい。昼間はひんやり、夜は暖かかった。高い橋は風も強く、どこかへ飛んで行ってしましそうな錯覚を起こすからキライだ。西の地区へ進むと車は凶悪になり、すぐ後ろで方向指示器をカチカチと点滅させ続ける。パトカーに捕まってシュンとしているのを見てスッキリとした。トコトコ、ドコドコと軽快に響くエンジン音にのって都はるみの「好きになった人が」なんどもなんども頭の中を駆け回るので1回だけ思いっきり歌ってやったらそれきり出てこなくなった。

島根の道は綺麗だけど高齢者ばかりなので遅い。鳥取の道は汚くて荒れているけれど半分は飛ばしている。道の整備を見ると地方議員の力量が分かるのでいい。特にいい道なのは山梨だ。K丸の亡霊が今でもいるのかしら。県境であからさまに道路の舗装が変わってしまうのは四国でも見た。

新品のヘルメットは飛んでくる虫がベチっとへばりつき、黄色や赤のシミが広がり目の前が惨劇となる。もっと蒸れるものと思っていたが空気があちらこちらからなだれ込んできて目の玉が乾いてしまった。走っているとどこに空気穴を閉じるスイッチがあったか忘れてしまって手が出せない。ちゃんと場所を覚えておかねばならない。

冬用の手袋は暖かで手がしびれることはないが蒸れて困る。浸透性の布を使っているのだからもっとサラサラしてもらいたいが。手に汗握る運転では無理もなかろう。パンツは言うことなし。万事是良とする。お尻も痛くならない。ジャケットもしかり。しっかりと風を防ぎ体も蒸れない。1日の終わりに部屋で見ると薄汚れた感があったのでタオルで拭くとそうでもなかった。気のせいであろうか。

夕方から覆面をかぶる。首筋から入る風は厳しい。ヘルメットをかぶる前に覆面を頭からすっぽりかぶるとニキラウダになった様な気がした。まんざらでもなかったが自分の息がフゴフゴと気になり、鼻を上下に動かしてはムフーっとなった。眼鏡がかけづらいのにも辟易とした。遠近両用なので焦点がずれて自分の目がさらに悪くなったようでよろしくない。
心配した靴のトラブルは気をつけていたせいか、何事も起きず安心したが足首に風が当たるので、 長い靴下を履くかしなければならない。

下着は「とっても良いモノですのよ」と言われて購入したとってもいい値の下着。汗を瞬時に吸ってサラサラにした状態にしてくれ服が体に張り付かないようになっている。薄っぺらな布のくせに暖かで着心地もすこぶる良い。さらにこの下着、臭くならないという。日中嫌な汗をたっぷりかいたので洗濯が必要かと思ったが全く臭わない。それどころか新品のような状態であった。これはと思い翌日も同じ下着とする。2日目。全く臭わない。下着に鼻を押し付けてくんくんとするが驚くほど何も臭わない。鼻が壊れたかしらといぶかしんで鼻をかんでもう一度試すが同じであった。3日目もチャレンジする。結果は同じであった。全くもって驚天動地の性能だ。4日目もと思ったが手洗いと乾きのテストもしなければならないので風呂場で洗って干しておいた。翌朝はすっかり乾いていたので合格。

4日目は天気が悪かったのでもう一つの下着を試す。ウールでできたこの下着、値段の割に高性能を感じさせない。天然物の良さかもしれないが、よくわからなかった。家で洗ったら少しデレっとなったのでやはりウールはよろしくないのかもしれないと干しながら考えた。虫にも食われてしまう。

おわり

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