日々雑思 ある日

ある日

客を誘い村にでる。カフェ、幸代同行する。幸代はテンションが上がっていつもよりウキウキと歩いている。尻尾の先がぷ〜と上がって尻の穴丸出しで、それがだんだんと開いてくると人の家先であろうが店の真ん前であろうがいきなり後ろ足を前足に揃えて情けない格好でウンコをしてしまう。

 

同行の二人は初めての夜間外出に心躍らせながらも緊張した様子が伝わってくる。この村は安全なのだけどこうした用心の心はいつも旅人を助けてくれることを忘れてはいけないのだ、最近は不用心になってしまっている自分に言い聞かせる。

 

マリアがやって来てウイピルを買ってくれという。このところ生徒が少なくお金に困り出しているのであろう。マリアが言うには生徒が少なくなったのにはわけがあってついこの前、泥棒がバスを襲って金目のものを根こそぎ持って行ってしまったのでそれが伝聞となって広がっているからだと真顔で言っている。そういえばバスに乗ってくる旅行者が随分と少ないわけだ。こうした話には尾ひれがついて広がるのでいけない。

 

どうして泥棒が増えたのかというと都会で警察が取り締まりを厳しくしたから。泥棒たちは居場所がなくてこちらに逃げて来て山賊になっている。でも村にはゲートがあって泥棒は入れないではないかと言うと警察がいつも見張っているわけではないので誰かが手引きをしているのだとマリアは言ってから私も夜に一人で帰るのは危ないといいだす。それならこんな時間に来なければいいのにと思うのだけれど。

 

山賊は他にも山に登る人からもお金を盗んでいる。僕はなぜツアー会社が警察に頼まないのだと聞くと知らないと言う。こうした場合2つのことが考えられて、ひとつは地元民は警察など鼻からあてにしていないから。もうひとつはツアー代をケチる輩からお金を巻き上げてツアーに参加してもらいたいと考えているから。この辺の人は短絡的なところがあって目先の損得でものを考えてしまうことがあるので人の話を安易に信じてはいけない。

 

ある日

洗い物をしていると親指の腹がパックリと割れてしまう。クリームを塗っても一向によくならないのは雑巾をきっと絞る時に親指の腹に力がかかるのだ。洗剤も悪い。ただでさえ歳をとって乾き気味になっているのに油分を根こそぎ持って行かれてしまっては指の腹も割れると言うもの。死ぬ時に人様に迷惑をかけないように徐々に徐々に人の体は乾いていくのだ。油分が多すぎると焼いた時にはいい匂いがするけれど運ぶ時にネトネトして気持ち悪がられてしまうのだ。

 

セシリアにぱっくと割れた指を見せると、どうしたのだと言う。洗い物を一生懸命にするからこうなってしまうのだと言うと。「ハラール」と使う動詞を直してくれる。割れたと言うところを違う動詞を使ったからだけど、度々間違える僕に思いっきり舌を巻いて再度訂正してくるがだんだんと目が据わってきている。セシリアは僕にはとっても厳しくて、怒られてばかり。他のお客さんが間違えても優しくわかってくれるのに出来の悪い生徒には厳しいのだ。

 

セシリアが来てくれるようになって僕のスペイン語は格段に上達した。問題はその単語が日本語では何に当たるのかいまいちピンと来ないことがある。それでも会話でそれを使っても違和感なく受け入れられているのでよしとする。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です