日々雑思 屋台で食べる

ある日
1日、晴れわたっていた日の夕方。いつもより少し遅く犬の散歩に出る。焼肉の屋台へ寄るため。まだ少し早かったので聞くと大丈夫だという。客がいないので夕食を作る気にもならず、久しぶりに人様の飯が食べたくなった。

焼肉を食べたい気持ちになるとき。
カラリと晴れた日。雨の日などはならない。
体力のある日。そうはいっても、こんにゃくを食べたくなるほどの体力まではない日。
強気の日。
反省していない日。
気分のいい日。
気分のふさぐ日にも。気分がふさいでいてもお腹はへる。これを食べて元気を出しましょうと食べる。このての食べ物は、焼肉のほかにもう一つある。うな重。
牛肉、キャベツとアボガド、つけあわせにトルティーヤの一皿。
包丁を入れた切れ目のひだひだが、屋台のイカの姿焼のようにふくれ上そり返っている炙り牛肉、ぐしゃぐしゃしていないで、しかも香ばしい汁をたっぷり含んだ朱色の炙り肉を指でむしって一口。投げ出したように無造作に皿から半分もはみ出てのっているトウモロコシの匂いのする少しだけ焦げたトルティーヤは、焼き立てでまだ煙が上がっている。メンコみたいに丸い、このグアテマラパンが好きだ。ふわふわした西洋白パンは、空気も一緒に相当量飲み込む感じだけれど、トルティーヤはそのものだけを、ごっくりとのみ下す。いかにも穀物を頂いている感じだ。

 

焼肉が食べられなくなったときは、もうおしまいだ、きっと。このところ暫く、食べ物や水物をのみ下すさいに、喉がごっくんと鳴って通りがわるく、やたらと咳払いをする、だるい、眠い、すぐにげえげえと吐きそう、もうじき死ぬのではないかと密かに心細く思っていたのだけれど、昨日の朝ごはんの時から、突然、元どおりになった。

 

3人の男が炙り腿肉を注文している。きっと貧乏人だ。若い一人は僕の炙り牛肉を見てちょっと物欲しそうな顔つきになっていたが、他の年寄りに遠慮して渋々同じものを注文している。

皿に残ったキャベツとアボガドを汁と混ぜてパンに包んで飲み込んで、終わり。

再び、湖の方へ坂を下る。サルサピカンテという香辛料はヒトの体のどこかに何かいいのだ。のんきな気分。日光を十分体内にとり入れた犬が道端で寝ている気分。

湖沿いのバスケットボール場の階段に腰を下ろす。後ろで男が立ち小便をしている音がする。ちらりと見るとあちらもバツの悪そうな顔をしてこちらをちらりと見てからそそくさと立ち去っていった。
若い男女が少し向こうで並んで座っている。バンドでバトンを振りながら踊っていた娘と太鼓を叩いていた男の子。二人は互いに寄りかかりながらたまに接吻をしている。練習の時にはそんなそぶりもなかったのに他のメンバーは知っているのであろうか。こんな小さな村なのですぐに知れてしまうことも承知しているのか。後になって顔が赤くなるような思いをするであろうに。
ポツポツと降ってきたので帰る。家に着いた途端、バケツを返したような土砂降りとなった。

おわり

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日々雑思 屋台で食べる」への2件のフィードバック

  1. あおき

    鰻重、美味いですよねえ。
    そっちでレトルトとか買えるんですか?

    返信
    1. HIDEKI 投稿作成者

      あおきさん
      いつもコメントありがとうございます。うな重もこんにゃくもまったく買えません笑
      カレーも一箱1000円もするのでいつもスパイスから全部作るんです。こちらではなんでもすべて手作りであらゆるソースを自分で考えて作っています。それでもなかなか美味しくできるんですよ。うな重食べたい!うなぎ獲りにでも挑戦してみようかなぁ、いるのかなぁ。

      返信

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