おおらかに

日本にて「ご乗車ありがとうございます。お客様にお知らせいたします。先ほど池袋駅で緊急停止ボタンが押されたため安全確認を行いました関係でこの列車は5分ほど遅れを持って運行しております。お急ぎのところ云々」と通勤電車に流れる毎度の放送。3分毎に同じ内容を聞かされ続け、夕方の帰宅時の車内でも朝起きたことを謝るための放送を聞かされるのは日常のこと。駅ではすごい剣幕で駅員に怒鳴っているサラリーマン。「どうしてくれるんだ、えっ、いつも遅れやがって、さっさと遅延証明をよこせや」5分遅れたことがそんな一大事なのかととても気の毒になる。
一方、ここはグアテマラ。バスが来ると言う時間にバス停に行くが一向に来る気配もない。隣のおばさんにバスは10時だよねと聞くと「ノセ(知らないの意)」と言ったきり、どこに行くのか聞くと僕と同じ街へ出かけると言う。ではと近くにいるおじさんにバスの時間知ってると聞くとこれまた「ノセ」知らない「多分11時にはあるよ」とこれまたのんびりした返事。しばらく待ってバスが来たのは11時半。先ほどのおばさんも乗って行くところを見ると10時のバスであるらしい。僕も慌てて乗ってから何時に着くのか運転手に聞くと、だいたい4時間くらいというアバウトな返事しか返ってこない。途中から乗って来る乗客も何も文句を言わないし、椅子に腰掛けて談笑している。運転手は助手と他愛もないことを話していて時折、大声で笑ったりしているのだ。
こんな時、僕は外国にいることを強く意識する。たとえバスが途中でパンクして、立ち往生しても誰も怒鳴らないし、仕方ないねぇといった感じでおとなしく、隣の人との話に華を咲かせている。乗り継ぎがあってもなんとかなるさっといった感じで実におおらかだ。最初のうちこそヒヤヒヤしていたが、最近では僕もなんとかなるさと思うようになった。そう実際なんとかなって来たし、特段怒鳴りつけたところでどうなるものでもない。
このところスケジュールの組み方もだいたいこのくらいにとしか決めないし、ダメなら次でいいやと、いい加減さも極まっていて、これではいけないと思うのだけれどこうした国ではどうにもならないので思い切ってお任せしますといった気持ちになるしかないのだ。旅のスケジュールをタイトに組んでいる人にとってはまったく冗談じゃないと不安になる気持ちもわかるけど予定外のことがかえって楽しい思い出となることも多い。

一時が万事この調子の国ではこちらの気持ちも切り替えて置かないと大変なストレスとなってしまうのでせっかくグアテマラに来るならおおらかな気持ちで来るか、タクシーか専属ドライバーを雇ってスケジュール通りに旅行を楽しまれるかを決めてこられるといいのではないかと思っている。

余談ではあるけれど、余裕を持った移動をしないと思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もある。なるべくなら日の高いうちにホテルについてしまうことだ。暗い夜道を大きな荷物を背負って歩くのはちょっと嫌な感じになる。以前、うちの宿に来たお客さんが間違って前の家に入って行ってしまった。家人は連れて来てはくれたが、その時、泥棒かと思ってびっくりしたのよ。気をつけてねと言っていた。僕は肝を冷やしたが、当の本人はケロリとしている。これが意味することがわかるようになってから夜間の移動はされた方がよろし。

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