小さな旅 チキンバスに乗って

グアテマラシティへチキンバスで行く。バスの運転は荒く、山道を右へ左へと体を持って行かれないようにつかまりながら4時間。ウォールマートの前で下車する。ここは警備員もいて大通りに面しているので強盗に遭うこともなく安心できる。久しぶりのスーパーマーケットで買い物をする。まずはサランラップ。これはサンペドロでは手に入らないので200ft巻きのを2本買う。続いてタワシ。これは毛のちょっと柔らかでカラフルなものを選ぶ。犬のシャンプーが安かったのでこれも。食材コーナーではテンションが上がりすぎないように用心しながらドレッシングとニョクマムを買った。他にも何点か買った後、フライパンや物干しを見ては買いたくなる気持ちを抑えておく。次回はきっと買ってやろう、荷物をもっと持てるようにしてくるのだと心に留め置いた。
レジの向こう側にあるマクドナルドに向かう。ビックマックとコーラ、ポテトのセット38ケツアル。ちょっと高いけど都会に出た時の楽しみの一つ。パンの柔らかいことったらありゃしない。ポテトはからりと揚がっていて、サルサとは違うケチャップの味に感動してしまった。

 
用事を済ませパスポートを無事に取り戻す。帰りのバスの時間が近い。急ぎタクシーに乗りちょっと危険な地区を通り過ぎて行く。携帯で写真を撮ろうとするとタクシーの運転手が携帯をしまってくれと言ってきた。なるほど窓ガラスを割られたり、強盗にあったりしたらかなわないのであろう。バス停でサンペドロ行きのバスがあるか聞くと、もうないという。仕方ないのでシェラ行きのバスで148バス停まで行くことにしたシエントクワレンタイオチョという名のバス停は距離程のことを指している。ここはサンペドロへの分岐点でおそらくシェラからの最終バスに乗れると思った。

 
主要なバス停に止まると次々と物売りたちが乗ってきて片端から声をかけてくる。ポテトフライ、ジュース、ナッツ、タマレスを持った男女が前から乗り込み後ろの出口から去って行く。中にはそのまま乗車して売り口上を唄い始める輩がいる。
「バスに乗ってくれてありがとう。セニョール、セニョーラ今日は特別に安くしておきます。そんじょそこらのものではなく健康にとってもいいのです。これを買わないと損ですから、どうか僕の話を聞いてください」と言った感じで聞いていて楽しい。ひとしきり話し切るとバスの運転手に礼を言って去って行った。

 
ぎゅうぎゅう詰めのバスからやがて少しずつ人が減り、あたりが真っ暗になる頃148バス停に着いた。売店のオヤジにサンペドロ行きのバスはあるかと聞くと最後の1本はあると思うという。バス停には他に何人かの男衆がいて聞くと彼らも下の村まで帰るという。20分ほど待ったが一向にバスがこないので、男衆たちはヒッチハイクを始める。やがて1台のピックアップが止まってくれた。僕らは慌てて荷台に乗るとすごいスピードで走り出す。標高が高いのと霧でモノズごく寒い。他の男も必死で縮こまって寒さをしのいでいる。出した手がすぐにかじかんでしまったのでリュックを体の前に抱えて風除けにする。ぐねぐねした山道を駆け下り、最初の村に着いた。ちょうどサンファンまで行く車がいたのでこちらに交渉してヒッチハイク成功。ゴトゴトの山道を下って行くがお尻が築き上げられて痛くて仕方ない。いい加減げんなりした頃サンファンに着いた。ここでトゥクトゥクを拾いサンペドロまで戻ることができた。

 

バスがないと言われても不思議と不安はなく。なんとかなるさと気軽に考えながらの帰路は旅と言えるものだった。そう、いつもなんとかなるものなのだ。考えるより行動することが旅では大切なのだと改めて知った。通常お客さんには安全の為にアンティグアで1泊して翌日来てもらうことを勧めているけれど夕方5時にグアテマラシティを出てもなんとか帰ってこれるのだ。でも初めての地でスペイン語もままならなければ感じる不安はとても大きなものだということも容易に想像がつく。僕のスペイン語はサンペドロの訛りがあるし、ツトゥヒル語も少しだけわかるし旅行者のような大きな荷物も抱えていない。ヒッチハイクの礼金もわかっているし、土地勘もあることから旅とは言えないけれど、先がわからない楽しさは紛れもなく旅そのものであった。

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