宿の近況

一難去って

水の問題はタンクの増設で解決したかに思えたけれど、3階の洗濯用の貯水槽が割れて水漏れがひどくなってしまった。以前あった地震の時にヒビが入ったらしく気がかりの一つだった。この貯水槽は水不足の時の予備としての役割があってとっても大切な場所の一つ。ドラム缶3本分に相当する水を貯めておくことができるので、ここに水が溜まっているとなんとなくホッとした気持ちになる。

 

屋上に設置した新タンクはドラム缶5本分の容量があるので心配はないと思うのだけれど一度染み付いた心配性はなかなか拭い去ることができない。とりあえず大工のミゲルに相談して今後さらに大型化して水の心配をまったくなくすかと考えている。

 

この村の水は配給制で週に3日しか水が来ない、しかもそれは時間配給でちゃんと来たためしがないほどお粗末。時には来ない日もあって、お客さんが多い時はハラハラとしてしまう。日本人は洗濯好きのシャワー好き。やはり水がないのは日本人宿として申し訳なくなってしまうのです。通常に水が来れば問題のない現在。雨季に入る前に直さないといけません。一難去ったと思ったのに。

 

薄井幸代

あまりの馬鹿さ加減に尻を蹴飛ばして追い出した薄井幸代。野口さん(仮称)が可愛がっていたのでちょっとかわいそうだとは思っていました。夜は帰らず、朝も帰らず、どこかへ逃げたと思っていたのですが、夕方フラリと出て行ったカフェが連れて帰って来たのです。はじめのうちは煙たがっていたカフェも最近はよく面倒を見ています。あまりに怒られてばかりなので少し気の毒にでも思っているのでしょう。

 

戻って来た幸代、お腹を空かしているようです。ご飯を食べ終えるとすぐに寝てしまいました。あれだけ怒っても帰ってくるのでやはり情がわくのですが、そのあとがいけません。2日後、夕方の散歩に出た幸代は再び脱走です。カフェが追いかけましたが戻ることはありませんでした。夜、帰って来た薄井幸代、僕の顔を見るなり逃げ出します。お客さんが呼び止め捕まえましたが僕は薄井幸代の首根っこをひっつかみ、しばき倒します。ケツを蹴り上げて出ていけと怒鳴りました。薄井幸代はキャンキャン言って逃げて行きました。

 

宿で買う犬がしばしば脱走してどこにいるのか何をしているのかがわからないというのはとても怖いのです。特に夜間、山から野犬が降りて来ます。中には狂犬病の犬もいるでしょう。そんな犬に薄井幸代が噛まれたら、そして幸代がお客さんを噛んだとしたら一大事です。狂犬病は発症すれば致死率はほぼ100%の怖い病気です。そしてこれから盛りのつく季節、素性のわからない犬との接触機会が増えるのです。どこの馬?の骨とも知れぬ犬に孕まされて帰って来られては困るのです。

 

可愛く、お客さんにも人気の薄井幸代。性根はいいのですが、それとこれとは話が別なのです。すでに薄井幸代はこの宿に来れば美味しい肉のご飯と暖かい寝床があることを知ってしまいました。その上、鎖をちぎり綱を噛み切って出て行ってしまうほど自由が欲しい彼女。このまま飼い続けることはリスクが高くなります。

 

お客さんは捨てるか追い出すことに反対のようです。まだ1ヶ月ということもあり、僕は悩んでいます。幸代は繋がれっぱなしで一生を終えるか、野良となっても自由に生きるかどちらがいいのでしょうか。
先日、野口さん(仮称)に捨てるかもしれないと連絡しました。彼女も同様にもう少し待ってもらいたいようです。僕の気持ちは遠くの山のゴミ捨て場に捨てることに決まっていますが、お客さんに救ってもらえました。

 

しばらくの間、薄井幸代は降格です。庭の隅っこに繋がれて1日中僕は声もかけません。昼間の買い物もカフェだけ。薄井幸代は朝晩の散歩のみ。そしてこれまで離して自由に走り回らせてあげたのも止め。僕の右横で僕より前に出ないように綱でしっかり管理です。拾い食いは絶対にさせず、おしっこ、ウンチのあとは匂いも嗅がせません。散歩から帰れば即、庭の端っこへ。幸代は随分と悲しそうですが毎度、脱走して心配ばかりかけるのでしばらくはこのままです。狂犬病の注射もしてやることにしました。役所の無料注射を待つわけにもいかないので近所のペットショップに行くことにしました。通常の3倍ほど痛い注射をお願いしたいところです。

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