サラバ野口(仮称)

 

 

 

 

 

1ヶ月に亘り管理人として宿の手伝いをしてくれた野口さん(仮称)。いよいよ出発の日がやってきました。

 

一人娘でわがまま放題、好き嫌いばかりで、あー言えばこう言う、やることなすこと失敗ばかり、言い訳にブンむくれといいところを挙げろと言われてもハテとなる手間のかかるアラサーです。

 

よくも悪くもキャラの立つ彼女が宿の雰囲気を変えているのです。僕は彼女を管理人にしてよかったと思っています。Casa de kamomosiのお客様はなぜか女性ばかり、30歳前後の女性がどうにも苦手な僕は無口になってしまいがちです。彼女たちときたら自分の思っていることをなんの遠慮もなしにストレートにぶつけてくるのです。恥じらいや奥ゆかしさのかけらもない旅人の女性は僕にとって強烈な存在です。いつもたじたじとなってうなだれてしまうだけ。どう立ち向かったところで敵わぬ存在です。

 

「ツジさーん!見てパンツの股が裂けちゃった〜」と中側から指をにょっきりと出してクイクイと動かしています。僕は「パンツを貸しなさい、縫ってあげるから」というとその場でスパッとパンツを脱ぎ、僕に渡すのです。僕は日向に行き、目を細めて針に糸を通します。若かった頃であれば目を細めるのはモザイクがかかった画面を見るときだけだったのにと情けない思いで破れたパンツを縫い上げるのです。

 

一時が万事がこんな感じの彼女たち。あれをしろ、これを出せ、もっとこうしろ、あーしろと無理難題を押し付けてくるのです。そんな彼女たちに生返事をしながら逃げる機会を伺っていると、野口さん(仮称)に「バカじゃないの」「わけわかんない」「知らね〜よ」と取りつく島もないほど追い討ちをかけらて半泣きになるのです。僕はふにゃふにゃになって彼女たちに笑われながらもやっと解放されるのです。残った彼女たちは僕の無能ぶりをせせら笑い、まったく何事もなかったかのように他の話でキャーキャーと高い声で「女子力がぁ」「ムラムラするぅ」などと盛り上がっているのです。

 

無遠慮に人の領域に立ち入り、見るも無残に男の気持ちを踏みにじる野盗のようなアラサー女性旅人と僕の間に立ちはだかり、チーママでもないくせに女将のように立ち振る舞う野口さん(仮称)。僕はムカッとしながらも彼女のおかげで随分と助かっていました。

 

正直、管理人としてはなんとか次第点の彼女。自分の考えが全てで、感情が制御できない様子を見ていて”はてさて、自分もこんなんなだったのか?”と振り返って、かぁーと顔が真っ赤になるのです。なんの根拠もない自信と強引さだけでした。それは僕が今は失ってしまったかもしれない力でもあるのです。その力は未熟さを補って余りあるものです。このひと月、彼女を見ていてこれからの宿のこと、今後の管理人さんの要不要、これから接する同年代の旅人のこと、自分のことなどいろいろと考えることができました。
初めての管理人採用は僕にとってもとてもいい経験になったのです。ところで野口さん(仮称)とは一体誰だったのでしょう。彼女は旅ブログランキングでも上位の人気ブロガー(自称)です。今後、この宿の出来事を書くかどうかはわかりません。彼女がどう感じ、どのような経験をしたのかは彼女のブログを見て見るといいかもしれません。
願わくばこの宿は女性に向かない、最悪のキモいおっさんがいる見掛け倒しの宿だったとでも書いてくれれば、もう少し男性客が増えるかもと期待しているのです。

 

ともあれ、初代管理人野口さん(仮称)は引退です。さらば野口(仮称)行ってらっしゃい。旅の無事とさらなるいい経験を祈っています。そしてありがとう。アディオス アミーガ!¡Vas a con dios!

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