カフェと一緒に寝る夜は

犬のカフェは普段、台所か僕の部屋の前で寝ている。夜のパトロールに出ていくために寝ずの番をする。朝方、僕が起きる頃はとっても眠たそうにしているのに、まるで長年会っていなかったようにきちんと挨拶をしてくれる。僕はご苦労さんと声をかけて朝食の準備や掃除をし始める。

散歩が日課となっているけれど、お客さんんが多い日は忙しくていけないことがあって、そんな時はお客さんと一緒に学校へいくのが楽しみの一つ。カフェにはお気に入りの湖沿いの学校があって、泳いだり草むらを探検したりしているらしい、帰って来ると耳にトゲトゲのついたタネをたくさんつけている。体にもついている。よほど楽しいことがあったのだろうとそれを見ると良かったなぁと微笑ましくなる。

湖で泳いだ後は柔らかな土の上でごろりとなって体を乾かすので、汚くなってしまうが不思議と犬の体は人間のように泥だらけにならない。それでも数日もするとだんだんと臭くなってきてそろそろ風呂に入れなければならないとわかる。本人もそろそろという気配を察するのか、どうせお風呂に入るならと徹底的に土の上で寝ているようだ。

夕方、僕はカフェに綱をつけて風呂に行く。カフェはわかってはいるけれどささやかな抵抗を見せ、階段の下で踏ん張っている。促されると渋々と階段を上がる。風呂の扉が閉まると観念してシャワーの下へ。ゴシゴシと体の隅々まで洗ってもらうとブルブルブルと体を震わせてからバスタオル2枚でよく拭いてもらう。

このまま離すと脱走して土の上に行って、転がるので綱に繋がれたまま台所で夜の餌をもらう。綺麗なシーツで包まれたカフェの体は僕が寝る頃にはすっかり乾いている。カフェが眠そうになった頃合いを見計らって一緒に部屋へ。すでにカフェは知っていて、僕のベットにひょいと飛び乗るとゴロリとなっている。電気を決してベットに入ると僕の横にやってきて、布団に入れろと催促する。布団に入ると今度は腕枕をしてくれと言う。僕が腕を差し出すと、そこに頭を乗せてすぐに寝息を立て始める。

しばらくすると暑くなるのかベットから飛び降りて床で伸びている。体が冷えるまでそこにいて、また僕の隣へ、たまに足元へ行き布団の上でと一晩中、僕のそばを離れずに快眠を貪っている。カフェと一緒に寝る夜は、寒さを知らず、僕も安眠できる。カフェは僕から布団を奪わないし、いびきも寝言も歯ぎしりもしない。僕のいびきにも文句を言わない。ふわふわの毛は柔らかい天鵞絨のよう。残念なのは翌日には泥だらけになってしまい。この素晴らしい夜をふた晩と過ごせないことだ。一夜限りの恋も出会いもがいいのはきっと翌日には心地よさと名残惜しさが残るからなんだ。早く臭くなっておくれよカフェ。

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