泥棒が来た

先日、隣のドーラがやって来て、昨日の夜1ブロック下でラドロンが出たから気をつけなくてはいけないと言う。ラドロンは泥棒のこと。年末が近づくとクリスマスプレゼントを家族に買えないものが里帰りできずに泥棒になる。強盗になる。携帯をひったくったり、金を持っていそうな家の窓を割ってパソコンなどを盗んでいく。きっと彼らの神様は泥棒の神様なのだと思ってしまうがドーラには言わない。
日本人宿に泊まる客はここに壁がないことを忘れているようだ。油断させてはいけないと注意を促す。カフェの寝床は通常台所だけれど、僕の部屋の前に布団を敷いて寝ずの番でも寒くないようにしてやった。役割がわかっているのかカフェはその夜からそこに陣取って、度々出動していく。

前の家の大爺は夜寝る前に懐中電灯を持って飼育小屋の見回りをしている。飼育小屋には鶏、七面鳥、うさぎが飼われていて大切な蛋白源になっているようだ。大爺はことの外この小屋を大切にしていて、泥棒が来て鳥を盗られてしまうのを心配しているのだろう。肝心の家の電気は消して、うちにお前が電気をつけておけと言っている。
毎日、順番につければいいのだろうにと思うのだけれど、ここの家はとてつもない大金持ちだと思われているのか、全部こちらにおっ被せてくるのでそのうち何かイタズラでもしてやろうかしらと悪い心がむくむくと湧き上がって来て、自分が悪者になった気分になる。

僕は庭仕事で使うナタを部屋の手の届く場所に置いて寝る。この辺りでは私刑もしていいのでここにやって来たら腕を切り落としてやろうとワクワクしながら日中に念入りに刃を研いでおく。とってもよく研げたので試しに庭の枝を払ったら見事にポロリと切れた。

朝、カフェは何事もなかったように僕の部屋の前で寝ている。ドアを開けて出てきた僕を見ると、眠たそうに見上げて小さな尻尾を振っている。僕はおはようと声をかけ、ご苦労さんとねぎらってやる。

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