今日からCasa de kamomosiがプレオープンしました。ちょっぴりほろ苦いスタートです。

ススムさんから声がかかってから2ヶ月足らず、まさか自分が旅の途中で宿を始めることになるとは思いもよりませんでした。バタバタとカンクンで宿のイロハを覚えなんとかプレオープンにこぎつけることができました。宿のことをすべて覚えたわけではありませんが、ススムさん一家が旅立たれたあと、やるしかないのです。
彼ら家族の思い、ナガレという宿に思い入れのある旅人の思い、今、この宿に泊まっていて宿が変わるのを見ていたお客さんたちの思いがいっぺんにのしかかってきて、居ても立ってもいられないような、宿から家族を追い出してしまった大悪党のようになってゲロを吐きそうな気分です。

特に今、泊まっているお客さんはすっかり意気消沈してしまい、火が消えたようになっています。僕はこうした時、なにもすることができません。普段通りに夕食を作り、ちょっと距離を置いてそっと見ているだけです。この宿に特別の思いを持った旅人たち。彼らからすれば親の仇かそれ以上なのかもしれません。僕は半月前この宿に入りました。すでに自分の気持ちは旅人というスタンスから離れ、宿の1日をちょっと離れて見ていました。自分なりに一人で切り盛りするにあたってどうやっていくか、時間配分をどうするか、セキュリティーやお客様との距離感や自分の時間の作り方を考えてきました。ススムさんに宿のことを教わりながら一つ一つ考えをまとめてきたのです。

心配なのは犬のカフェ。すっかり元気がなくなってしまいました。いつもなら大好きな散歩にまっしぐらなのに、誘っても悲しそうな目をするばかり。今朝、一番慣れたお客様が出発された時も後を追わずに帰ってきました。きっと置いていかれてしまうと考えているのでしょう。カフェはこれまで4回飼い主が変わっています。小さいころ子供を誤って噛んでしまい、追い出されてからあちこちの家で飼われてきました。今回も置いていかれてしまったカフェ。でもそれはカフェの幸せを考えてのことだと彼はわからないのです。
家族が去ってしまったあと、彼はとても寂しそうでした。見るからに元気がなくなり、見ていて気の毒になるほどでした。散歩に誘っても行きたくなさそうで、1日中椅子の上で寝ていました。僕はなるべく彼のそばに行って「大丈夫だよ」と語りかけて抱きしめてあげました。昨夜、友人の家に行く時、誘ってみると付いてきます。とても良くいうことを聞き、行儀良くしています。家に帰るとカフェは僕の脇に座りペッタリと頭をつけてきました。
そして今日、カフェは僕のそばから離れようとしません。どこに行くにもついてきて僕の行方を追っています。一緒に メルカドに買い物に行った時、カフェは大きな犬に気をとられ僕を見失いました。カフェは必死に僕を探してキョロキョロしています。その必死な様子に彼が僕を新しい飼い主だと認めてくれたのだと知りました。僕を見つけたカフェは一目散にやってきて体を僕にこすりつけました。僕は「さぁカフェ、帰ろう」と行って歩き出しました。彼はどうやら日本語はあまり理解できないようで、スペイン語で話しかけないとキョトンとしています。でも僕の日本語を懸命に理解しようとしているのがわかるのです。僕はなるべく両方の言葉で話しかけてあげています。夜、サトミさんがご飯を作ってくれたので僕はずっとカフェと一緒の時間を過ごしました。テラスのベンチに二人で座り日が暮れるまでカフェに付き合ってあげました。カフェは僕の手を甘噛みしてじゃれてきます。やっと安心したカフェ。きっと大切にしてあげないとと改めて思いました。

宿の仕事はたくさんあって、1日中働いています。
掃除、洗濯、炊事に追われています。今はキッチンの改造に取り掛かりました。自分のスタイルにあったレイアウトに変えています。明るいキッチンなので窓を磨き、外の庭が良く見えるように窓際に大きくスペースを開けました。やりたいことは山ほどあります。客室もシャワー室も屋上も庭も畑も。夢は膨らみますが徐々に徐々にやっていこうと思います。これを書いているのは2日目の夜、少しだけ時間ができました。まだ新規のお客さんはきていませんが時間をかけて、僕らしい宿にできればいいなぁと思っています。

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