チキンバスに乗って

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

シェラからサン ペドロ ラ ラグーナに向かいます。今回利用するのはチキンバス。狭い車内にまるでニワトリのように詰め込まれた乗客を形容したことからついた名前だと先生から聞きました。果たしてその乗り心地と道中は。ちょっと古い話やシモ系のネタを織り交ぜて書いてみました。一部今は使ってはいけない言葉、差別用語がありますがあえてそのまま使用しています。

バスターミナルまではタクシー。タクシーの運転手がどこに行くのと聞いてきました。サンペドロ と答えるとバスを見つけてくれました。30ケツアレスを支払います。メキシコでは降車時に何回か料金でもめました。そうしたことがないのはとっても旅する者にとってストレスがかからなくていいのです。
バスの運転手にサンペドロ?と聞きます。乗って乗ってと言われますが僕はもう一度、何時に出るの?と聞きました。答えは2時。今は10時です4時間も待てません。10時半のバスがあることを調べてあったので他のバスがあるでしょ、10時半の?と聞くと隣のバスを指さしました。生活がかかっているから自分のバスに乗せたいのはわかるけどいただけません。
隣のバスに行くとすぐに荷物を屋根にあげてくれました。きちんと屋根の上に置いたことを確認して、僕はバスに乗りました。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

チキンバスは通称です。地元の人にはカミオネータと呼ばれる古いスクールバスを改造した物です。派手なカラーリングと屋根の荷台、真っ黒な排気ガスを撒き散らしながら乱暴な運転で爆走します。始終発のバス停は決まっていますが途中は乗り降り自由。価格も安く庶民の足として国中で活躍しています。その姿はまさにデコトラ。映画「トラック野郎」に出てくるド派手に着飾ったバスです。菅原文太演じる星桃次郎が乗る一番星号ばりの容姿と相棒の愛川欽也演じるヤモメノジョナサンよろしく運転手と助手の二人で切り盛りしています。運転手がバーモス バーモス バーモースと声をあげてバスは走り出しました。カーステレオの音量をいっぱいにあげてサルサをかけながら、辻々に立っているお客さんを勧誘していきます。映画に出てくるジャリパンを思い出して苦笑してしまいます。ジャリパンとは路上売春婦のことです。主役の桃次郎は無類のトルコ好き(今はもう言いませんが昔のソープランドのことです)運転しながらジャリパンとやってしまうほどです。今ではとても考えられないような映画が昔はたくさんあったのです。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

長いストロークのクラッチを思いっきり踏みつけギーギーときしみ音を出しながらシフトチェンジ。ダブルクラッチを切ってもギアが入らないオンボロぶり。床から長く突き出たシフトレバーは昔のバスそのまんまです。座ったのはもちろんかぶりつき。鉄オタの間での通称で運転席のすぐ後ろ。ストリップ劇場の最前列からもじられたこの言葉、男の子が夢中になる物って見てはいけない物ばかりなんだとワクワクしてきます。僕がここに座るのは理由があります。こちらのバスちょっと物騒な場合があるのです。まれにスリや強盗が乗ってきて乗客から金品を巻き上げます。所場代を払わない運転手が撃ち殺されたことも。そんな乗り物に乗る時は僕は決まって前の方の通路側に座ります。出口に近いことで逃げやすいこと。窓側に座ると通路側に座った相手が銃をつきつきてきても逃げることができないからです。でも逆に言えばいの一番に狙われることもあるのです。リスク管理をどうするか?意外と難しいんです。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

カチカチに固まった窓を強引に開けて風をいっぱいに感じながら町を出て行きます。次々に乗ってくるお客さん。どこに座るのと思っているとおばさんがすでに二人座っている僕のシートに狙いを定めたようです。もともとスクールバスなので座席は2列。一つの座席に大人2人ならゆったりと座れますが、ここへ3人が腰掛けます。おばさんグリンと大きなお尻をねじ込んで強引に座ってきました。元々子供用なのに大人が3人。僕はぎゅうぎゅうに押し込まれ身動きできなくなってしまいました。たとえ1人おばさんが降りたとしても次から次へと新たなおばさんがやってきては押し込んできます。僕は背は高いけれど幅はグアテマラ人より狭いのでみんなに狙われてしまいます。隣に座るとニコッと笑いかけてくれるのは嬉しいけれど寄りかかって寝るのは暑苦しいし、ちょっと臭いし、虫がつきそうでいい気分にはなれないのです。実際に噛まれた人もいるし柔肌の日本人は虫にとってもごちそうなんです。幸い噛まれることはありませんでしたがなんだか虫が服に乗り移ってくるような気がしてモゾモゾしてしまいます。
パンアメリカンハイウエイは標高3000mの峠を越えてサンペドロに向かいます。満員の車内と屋根に積んだ信じられないほどの荷物。重たい車体をエンジンが唸りをあげてゆっくりと登って行きます。だんだんと肌寒くなってきますが窓を閉めることもできません。青息吐息で頂上へ。ここからチキンバスの本領発揮です。満載のバスを右に左に曲がりくねる山道を100キロ近いスピードで駆け下りて行きます。カーブのたびに左右へ振り回される体。必死で掴まりますがバスのタイヤが浮いて3本足になっているのがわかるほどのGには対抗しきれません。隣のおばさんは僕に身を任せきっています。若くて可愛い娘なら良かったのにと苦笑いをしながら後ろを見るとみんななされるがまま。バスに合わせて右に左に揺られる乗客たち。映画のワンシーンのようです。ちょっと吹き出してしまいました。大迫力の山下り。ちょっとジェットコースターに乗っているかの様なスリルを味わいました。こんな古いバスでブレーキ大丈夫なのかしらと覗き込むと運転席脇には手ブレーキが付いていました。ケーブルカーや登山電車についている運転台の横にある大きな輪っかです。フォークリフトのハンドルの様にとってのついた輪っかを回すとブレーキが閉まって止まる仕組みで緊急用に備え付けられた物です。なるほど恐れを知らない運転になるはずです。
ハイウエイをそれてアティトラン湖のほとりへと下る道に入ります。ここはバイクでも難所。つづら折りのカーブが続き、路面は荒れてほじくり返されています。崩れた砂利がアスファルトの路面を覆いズルズルと滑るのです。雨の日は川の様に泥水があふれ、絶対に走りたくない道です。僕もここで2回転けてしまいましたし、他のバイクも豪快に転んでいるのを3回ほど見ています。狭い道のカーブはすれ違うのもやっと。崖から落っこってしまうのではというほど端に寄せてカーブに入って行きます。ブブブーとクラクションを鳴らし対向車に知らせていますが、時にぶつかりそうになるのです。互いに譲り合うつもりはまったくない様です。左右の揺れに加えて路面の凸凹の縦揺れ、おばさんの大きな胸がボヨンボヨンと僕の腕に当たるのです。おばさんは気にすることなく僕に覆いかぶさる様に寄りかかってき続けます。おばさんのしわくちゃの手がダランダランと僕の手や腿に当たってくるし、時には股間に当たるのです。僕は左手で股間を押さえつつ右手で手すりにつかまり必死にガードします。長時間座りっぱなしで痛くなったお尻をずらすこともできず。おばさんの体が心なしか熱気を帯びてきている気もするし僕は早く到着しくれーと願うばかりです。やっとのことで下りきってサンペドロに到着です。
村に入っていくととっても賑やか、何かのお祭りの日である様です。これが幸いして僕はホテルの近くで降車することができました。降りしなに隣に座っていたおばさんがニンマリと僕に笑いかけて行きました。もしかしておばさんわざと?まさかまさかの痴女だったの?と僕は人生初体験のチキンバスと痴女の洗礼を受けました。いつかは乗ってみたいと思っていたチキンバス。今回バイクがないことでできた貴重な経験です。それはとても楽しくいつもとは違う旅の風景を切り取ることができました。グアテマラの文化?に触れた気がして僕の気持ちはとても晴れ晴れとしていました。降りた場所から50mほどの所にあるホテル。入っていくとみんないます。コモエスタ、アデランテ、アデランテ ヒデキ、ヒデーキー!コモエスター懐かしの声が僕を歓迎してくれました。こんな時日本語ならただいまぁと言えるのに。

 

今日の一言
バイクをカンクンに置いて来ざるを得なかった今回のグアテマラへの旅。様々な乗り物を乗り継ぎ、ちょっと贅沢な宿泊、観光や買い物を楽しむ旅となりました。バックパッカーのように移動して旅行者のように楽しむ。しばし忘れていた新鮮な感覚はこれまでの嫌なことをすっかりリセットできました。友人たちに会いに行くと皆んな喜んでくれました。これからしばらくまたスペイン語の勉強です。旅のブログはおやすみ。語学留学の様子を伝えて行きたいと思います。心配なのはホテルのネット環境、あいからわず遅いし不安定。毎日更新を月曜日から始めるに当たってちょっと工夫が必要です。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です