土日通信 おとぎのはなし

人魚

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遠い遠い海の底に、人魚のお城がありました。
お城には王様と6人の人魚姫が住んでいました。姉たちの話を聞いて育った末っ子の人魚姫は、自分もいつか人間の世界を見に行くことを夢見ていました。15歳の誕生日を迎えた人魚姫は海の上でたくさんの明かりをつけた船を見つけます。船には王子様が乗っていました。素敵な王子様を見て人魚姫は恋に落ちてしまいます。

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そのとき嵐が船を襲いました。海に落ちた王子様を助けた人魚姫は浜で王子様に声をかけ続けました。やって来た人間の娘に驚いて海へ身を隠したとき王子様が目を覚まします。そして王子様は目の前にいる娘に助けられたと思い込んでしまうのです。

恋に落ちた人魚姫は、人間になって王子様に自分の気持ちを伝えたいと願うようになります。人魚姫は魔女の元へ行き、美しい声と引替えに人間になれる薬をもらいました。でももし王子様が他の女性と結婚すれば人魚姫は海の泡になって消えてしまうと言われます。浜辺で薬を飲んで気を失う人魚姫。気がつくと傍に王子様が立っていました。しかし、声を出したくても人魚姫は声が出せません。王子様は彼女をお城まで連れて行き一緒に暮らしはじめます。ある日、王子様から溺れた時に助けられた娘と結婚することを聞かされる人魚姫。助けたのは私だと言いたくても、人魚姫には声がありません。

王子様の結婚式が近づいたある夜、人魚姫のお姉さんたちがナイフを持って現れました。このナイフで王子様の胸を刺せば海の泡にならなくて済むのです。人魚姫はナイフを受け取り、王子様の寝室へと向かいます。でも愛する王子様を殺すことはできません。人魚姫はナイフを捨て、海へ飛び込み海の泡になりました。

このお話は「人魚姫」です。世界各国に伝わる人魚伝説。美しい歌声で船乗りを魅了し船を難破させ。その肉は不老不死をもたらす。有名な「人魚姫」はそんないくつもある昔話の一つです。

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”今日はヘッドダイブをやってみましょう!”
通常、船からエントリーするダイビングでは入水した後、海面で安全を確認した後、足からゆっくりと潜水していきます。海流の早いところで一気に海底まで行かなくてはならない場合などに入水後、一度も海面に出ないでそのまま潜水する技術です。なんとか海底にたどり着くとサトコさんがにっこりOKサインを出してくれました。今日は講習ではありません。サトコさんからダイビングに誘っていただきました。コスメルでドリフトダイブを楽しみます。崖沿いの流れに沿って流されながらサンゴ礁や大型魚を見ることができるダイナミックなダイビングです。

少しは慣れてきたとは言え、ダイビングをしていると自分の姿勢のみっともさなに笑ってしまいます。水中で姿勢を維持することは難しいのです。腰の重石が偏るだけでオヨヨと斜めってしまいヨレた姿勢でぎこちなく進む僕。でも思い通りにならないのがダイビングの楽しさでもあるのです。ついついおかしくて笑ってしまった拍子にマスクの隙間から水が流れ込んできてマスクの中に海面が見えたり楽しいことこの上ないのです。

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カメが近ずいていくのです

魚を見たりすることも楽しいのですが僕はサトコさんの所作を眺めるのが大好きです。水中での彼女の仕草すべてがカッコイイのです。ヒラリヒラリと舞うように泳がれるサトコさん。自由自在に泳ぐ彼女を見ていると決まって頭の中でNOKKOの人魚がリフレインするのです。 まるで彼女の考えがわかるかのように海が道作っています。スゥと行ったかと思えばピタリと静止して、まるで早い潮などないかのように彼女の体は動かないのです。サトコさんの指差す方に大きなハタやカメがいるのがわかってバタバタと足でかいてもダダ流れになってしまう僕。呼吸を大きくしすぎて浮力がついてしまいサヨナラです。

 

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遠くに行っちゃうサトコさんを涙目の向こうに見失いキョロキョロする僕。次の瞬間彼女は僕の目の前に現れて、僕の周りで舞を踊ります。僕にはスラリと伸びた足の先についているフィンがまるで人魚の尾びれのように見えるのです。両の膝を曲げピタリと閉じた姿は可愛らしく。くるりと振り返りこちらにOKサインを送る時のヒラ打ち姿の美しさにハッとさせられ、潮の流れに身を任せていた刹那、尾びれを一振りするだけで紺碧の海底へと消えていく姿をみて僕は”人魚とはこうした生き物であるのだろう”と確信するのです。

 

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僕が潜った回数はたいしたことはありませんんが、彼女ほど綺麗な泳ぎをするダイバーを見たことがありません。コスメルは有数のダイビングポイント。たくさんのダイバーを見るのです。もちろんみなさんとてもお上手なんです。姿勢維持やテクニックは僕など足元にも及ばないのですが彼らは水の中にいる人なのです。重い機材をつけて泳ぐ技術を持ったダイビングのうまい人。でもサトコさんを見ていると時々何もつけずに潜っているのではないかと錯覚を起こすのです。何事でも人が敵わないと思うような技を持った人がいます。漁師や百姓といった職業でそれを僕は如実に感じ、見てきました。同じように見えてまるで違う。そんな人はきっと最初からそうであったと思うのです。

 

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人魚。きっと人は昔、そんな生まれ持った才能を持った人を見て物語を創造したのではないか。とすれば僕がカンクンの海で見たのは紛れもない人魚だったのです。いつの日かコスメル島に人魚伝説が生まれるとしたらそれはきっとサトコさんがモデルでしょう。そしてコスメルの人魚姫もまたいつか恋に落ちるのでしょうか。声を無くさなくてもいい薬が手に入るといいですね。王子様が目を覚ますまで側にいて声をかけておあげなさい。きっと豪華客船からとびきりの王子様を僕が突き落としておきますから。

今日の一言
やっぱりダイビングは海がいいのです。この宿で知り合ったまっチャンも一緒にダイビングをする機会があったのはとても幸せなことです。ダイビングのインストラクターをしているまっチャン。先日とうとうセノーテダイビングの資格も取りました。どこか頼りなげなまっチャン。でも彼の泳ぐ姿はインストラクターのものでした。さすがと思うのですが残念ながらうまい人止まりです。でもしっかりと仕事をしている姿を見て僕も頑張らないとと励ましてもらった気がしました。
夜、宿に帰るとオヤジとたかし君が二人でキッチンにいます。僕の姿を見て「遅いからうどんしか出来ないじゃない」と文句を言いながら仲良く作っていました。時間は8時過ぎ。僕は二人が遅いね遅いねと言いながらお腹を減らせている姿を想像してしまい笑ってしまいました。出来上がったうどんをさっさと食べ終えてしまった二人。違った意味で伝説を作りそうなくらいのグダグダにちょっとだけかわいそうなことをしたと反省です。

おとぎ話には終わりがあるのです。夢のような1日はアッと言う間に過ぎ去りました。でも本の世界でしか見ることのできないことを経験したのですから。僕には王子様の役は務まりませんし、胸を刺されるのもごめんです。それに僕はとうの昔に結婚という悪夢から覚めてしまっているのですから・・・おとぎの話はおとぎの世界のままで。

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土日通信 おとぎのはなし」への6件のフィードバック

  1. おきっちゃん

    カモモシさん、ご無沙汰してます。
    おきっちゃんです。

    仕事に忙殺されてる中、ある日、職員名簿にカモモシさんの名前が無いことに気付いたんです。
    それで、実は今日、もっくんに尋ねたんです。カモモシさんってどこ行った、って。
    そしたら、また聞きだけど、地球の裏側へ行くと言い残して旅立ったと・・・。

    早速、名前と、南米、って検索したら、このブログに辿り着きました。
    もっくんとは、今、座席が隣同士なんです。
    それで、2人でこのサイト見て、2人で「マジかっ・・・!」って(笑)

    雪山の山中で、寝袋一つで夜を明かした話とか、走馬灯のように蘇りました。

    話したいことはたくさんありますけど、またこのブログにお邪魔しますね。
    May the good speed be with you!

    返信
    1. HIDEKI 投稿作成者

      おっきっちゃんさま(さかなくんさんと同じ?)
      ご無沙汰です。だまって辞めちゃってすみませんでした。いろいろあって誰にも言わずに飛び出しました。
      最近、ブログを見つける元職場の人が多くてちょっとね。FBも申請が来たりして、辞めた人間のことはほっておきなさい、何もいいことはないのです。と言ってばかりです。
      実際、貴職は勝ち組も勝ち組、左うちわの生活なのですから余計な世界観を持つことは危険極まりないのです。
      こんな楽しい世界を知ったらアホらしくてやってられなくなりますよ。くれぐれもご購読の際は眉に唾つけてお読みください。
      嘘しかついてませんから。

      それにしてもモッくんと一緒とはけしからんね、まったく楽しそうじゃないか(笑)

      返信
  2. あおき

    悪夢…結婚て、悪夢なんですか?
    人魚のようなサトコさん、素敵ですね。
    ヒデキさんの文章から、想像すると目に見えるようです。

    返信
    1. HIDEKI 投稿作成者

      あおきさん
      質問が重たいです(笑)アレはいいものだと思いたいものですね、僕の場合はと付け足しておきます。何事も経験が大切ですからご自身でお確かめになることをお勧めしておきます。山のように大きな気持ちを持って、山麓を掘れば金がザクザク出てくるATMのような人がいいと思います。もし僕が再婚するとしたら80歳以上、会話をするのも一苦労の持病を持った身寄りのない方がいいなぁと思っておりますm(_ _)m
      冗談はさておき、この記事は僕もお気に入りです。あおきさん同様にご自分のスタイルを持ったとても素敵な方です。やっぱりアウトドアで活躍される女性はかっこいいですね。帰国したら一度山に連れて行ってくださいな。あおきさんも素敵な記事になりそうです。物語は何にしましょうかね。

      返信
      1. あおき

        ずっと結婚てものに興味が沸かないっすなー。まー、色んなケースがあるんでしょうね。話重たくなりそうなんでまた焚き火でも囲んでにしましょw

        返信
        1. HIDEKI 投稿作成者

          ははは そうそう焚き火いいですね〜ますます口が重くなって。でもなんとなくいいんですよね。ジッと見つめる火って。荒野のは格別ですよ。いつか

          返信

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