スペイン語留学9週目 わかるまで食い下がる

折れた心は折れたままなのにすでに習慣化されたのか朝には目が覚め(despertar)てしまいます。気持ちは行くのが嫌なのに体が勝手に起き出(levanar)して洗面所(baño)に向かい歯を磨き(cepillarse)、顔を洗い(lavarse)ます。よろよろとホテルを出てカフェに行くと自動的に挨拶を交わし、注文して(ordear)コーヒー片手に宿題(tarea)を開きます。そこには憎っくき過去形(Pretérito Imperfecto)の問題がずらりと並び空白がぽっかりと空いて威嚇してくるのです。鉛筆(lapicero)を手に取り(tomar)答えを書き(esclibir)出します。

なぜその答えを書いたのかすべての答えに理由を書き出し、26個の問題をやっつけました。動詞の活用表を横目で睨み書き込んでいきました。テーブルの上に置かれたコーヒーをひと口、ズズっと音を立ててすすり誰もいない客席を見渡して”ざまみろと”言ってやりました。”日本人はな音を立てて飲むんだよ、けっスカしやがって、見ろ(mira)この香り、コーヒーはなこうやって飲むんだよ”と吐き捨てるように言った時背後に気配を感じました。”しまった”と思い気配の方を見やるとそこには小さなメス犬がこちらを不思議そうな顔をして座っていました。”おまえかよ!おどろかせやがって、おまえにやるものなどないわ、バカめ”と言うとメス犬はワンと言って主人のいるカウンターの方へ言いつけに行ってしまいました。

フンと鼻息を吹き出し、宿題を進めます。気がつくと宿題は終わっていました。でもまだ注文したフレンチトーストが来ていません。”なんでこんなに遅いんだ、こっちは宿題が終わっているんだ、まったく”と文句たらたらに携帯の時間に目をやるとまだ15分ほどしか経っていません。その時、いつもの女性が挨拶とともにフレンチトーストを持ってきました。文章も簡単でしたが辞書をまったく使わずにすべての問題を解いていました。これまで時間に追われやっとのことで完成させていたのにおかしなこともあるものです。

学校へ行き宿題の答え合わせが始まります。僕はなぜその答えを書いたのか説明しながら答えていきます。2問め回答からいきなり険悪な雰囲気が漂い暗黒面が顔を覗かせます。todas las tardesこれはすべての午後と言う意味です。英語ではevery afternoon です。これは限定的な時間を表すか違うかで僕は噛み付きました。限定的な時間がわかる時はpreteritoを使うのです。でもこの場合、限定的ではないというのです。確かに言葉ではそうですが技術的に見ればすべての午後と言っているのだから限定的でもいいはずだと思った僕はスペイン語のルールではそうであっても納得できない、だって1年という場合は限定的じゃないか、1年は365日もあってどの日かわからないのに時間的に限定するなんておかしい、365回の午後があると思うから答えたんだと言います。

 

3問目も同じ”ドイツが1990年にワールドカップで勝った”という文章です。僕はワールドカップで何回勝てば優勝するのか知らない。回数が数えられないからimperfectoだと主張します。でもこの文章では優勝したと言う意味だから限定的だと言われ怒り心頭です。なおかつ1990年ということが書いてあるからといわれ怒髪天を突きました。だってワールドカップは何日も開催され何日間かなんて知らないし、だいたい何月だかも知らないんだからimperfectoだろ!と言いますが無駄な抵抗です。ここでホセが僕の考え方に気がつきます。ホセは時間の一覧を出してこの場合は限定的、この場合は違うとわかる表を見せてくれました。”早く見せろよ、勿体つけやがって、最初から出せばいいんだよ”と僕は心の中で思います。でもこれを見たことでストンと音がするほど腑に落ちました。
時間の概念での問題はなくなりました。

 

次はアクションについてです。英語のbe動詞に当たる動詞は二つあります。ser とestarです。ser には活用が幾つかあり一人称ではfue とeraを使い分けます。簡単に言えば変えようのないものと変化するもので使い分けますが、ここではアクションがあるかないかで使い分けます。”学校で勉強した”と表すか”学校で勉強していた”と表すかの違いにより使い分けるようです。何を語ろうとするかによって変わる動詞の変化、僕は話し手の思いが文章にはあるでしょう。その人がどう考えているかでこの文は答えが変わるはずだと言うと、ホセは確かにそうだこれはどっちでも言えると納得してしまいます。でもヒデキの答えの場合はイメージを語っていることになって話し相手は存在していないと言われました。そんな感じで永遠と喧々諤々と途中まで話しながら回答しているうちにだんだんと使い分けのイメージができてきました。答える前に確認して”あーこれは違うなという場所をホセの前で直しながら独り言のように、”こうだから、限定的でない、アクションがある”とブツブツ言っているのをホセは黙って見ています。書き終えると”イグザクタメンテ”と薄笑いを浮かべてふてぶてしく言います。なんと憎たらしいやつなんだと僕は思いながら宿題を終えました。

ホセはやっと理解したなと言って、明日から未来形を勉強するよ、また動詞の活用が変わるけどそんなに難しくないからと言いました。やっと覚えかけただけだというのにまた新しいことになるのかとゲンナリしてしまいました。僕は yo siento pue como mi corazón voy a partir と言いました。”心が折れそうだ”と言ったのです。するとホセは大爆笑!いいねと言っています。フレーズが気に入ったのかブツブツと言っています。人の気も知らずにとムカつきました。

休憩の後今日のレッスンはビデオです。”赤ずきんちゃん”見終えた僕にホセはこれをスタッフのホアンに物語を聞かせることが次の課題と言いました。本を読んだりしてはダメ、自分のイメージで物語を人に聞かせて理解してもらうと言います。セリフ、話の流れを過去形を使い分けて話すように、この物語の意味するところを解説するのが今回の課題と言います。そしてヒデキこの物語は何を伝えようとしているか知っているかと聞くので、僕は”食ったら逃げろだ”と答えてやりました。
今日の一言
まったく楽しくないのです。学校が終わり、カバさんのところへ行きました。”心が折れそうですカバさぁ〜ん”と泣きつきます。カバさんは”どうして折れそうなの”と優しく聞いてくれました。ありきたり答えではありましたが僕は少し心が晴れました。カフェでも店長から”どうだい?”と聞かれ泣き言を言いました。”少しずつ”と彼は僕の大嫌いな言葉を案の定言いました。でも僕は少し心が晴れました。泣き言を人にいうのも悪くないな、辛い時には辛いと言ってもいいのかもしれない、たとえそれが親友と呼べる人でなくても気持ちを語ることで随分と楽になるものだと感じました。
素直に生きる。簡単そうで結構難しいこの生き方。自分を受け入れるということも時には必要なのですね。楽に生きるということを覚えなければいけません。

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