お姫さまのベッド

NEMO Zor 20R pad M and mont-bell ダウンハガー#5


「エンドウ豆の上のお姫様」 アンデルセン童話から

むかしむかし、ある国に王子さまがいました。
王子さまは、おきさきをむかえたいと思いました。
けれど王子さまにふさわしいお姫様はなかなかいません。そこで王子さまは世界中を旅してお姫さまを探しました。ところがどのお姫さまも王子さまのおめがねにかないません。ガッカリした王子さまは、すっかり気持ちが沈んでしまい国に帰りました。

ひどい嵐の夜の事、門を叩く者がいます。戸を開けるとビッショリ濡れた娘が立っていてこう言いました。
「わたしは王子さまがお探しになっている本物の姫です」
娘がそう言うので泊めてあげることにしました。
「本当のお姫さまかどうかは、すぐに分かる事ですよ」
王子さまのお母さまはそう言うと、一粒のエンドウ豆を置き、その上にしきぶとんを二十枚重ねて、さらに二十枚の羽根ぶとんをかけた上に娘を寝かせたのです。

次の朝、お母さまは娘に「寝心地はどうでしたか?」と尋ねました。すると娘は、眠そうな目をこすりながら、
「せっかくのおもてなしですが、寝心地が悪くて少しも眠れませんでしたわ」
と、答えたのです。
「寝心地が悪いと言いましたが、どのように悪かったのですか?」
「はい。ベッドの下に何かが入っていたようです。背中にあざがついてしまいました」
お母さまは娘が本当のお姫さまだと思いました。だって、たった一粒のエンドウ豆であざが出来てしまうなんて、ふっくらしたベッドでしか寝た事のないお姫さまに違いありません。
こうして王子さまは、完璧なお姫さまをおきさきとしてむかえることが出来ました。


「あのさぁ、キャンプ行かない?箱根の山から湘南の夜景が一望出来る場所見つけたんだよ」「えーキャンプゥー!イクイク、夜景ースゴーイ、いつ?」”ヨッシャ!引っかかった”内心ほくそ笑みながら、そんなそぶりをおくびにも出さず、すぐさま週間天気予報に目を落とした。曇傘マークの付いた日を提案すると「えー!丁度休みの日ー」と喜んでいる。吹き出しそうになるのをこらえて電話を切った。

「ざんねん、曇っちゃったねー」とブンムクレながらもモグモグと特製弁当をほう張りながらゴキュゴキュとビールを飲んでいる。思ったよりご機嫌なのは真新しいテントと新品の寝袋を提供されたからだ、さらに保険をかけ、麓で買った氷でビールを冷やすサプライズと腕によりをかけて作った夕食も効いている。
あとはもう少し待って雨さえ降り出せば絶好の機会だなぁと妄想していると「なに笑ってるのー」と突っ込まれた。まったく女ってヤツは油断ならない生き物だ。

霧雨がサァーと吹きつけて来て一気に冷え込んだ。彼女をドマドームへ押しこみ、ニーモのマットとダウンハガー#5をうやうやしく渡して僕はいつものエアライズへ。
「なんだか悪いわねー」などと言いながら何も知らない彼女はまんまと人体実験の被験者となった。もちろんテントの下に一つだけ小石を置いたことは内緒だ。
翌朝、僕は彼女に「寝心地はいかがでしたか?」と聞いた。なるだけ冷静を装ったつもりだけど僕の体は前のめりになっていたに違いない。
彼女は眠そうな目をこすりながら「ふぁーい。フカフカの寝袋とマットのおかげでよく寝れたわー」
僕は彼女が本物のお姫様ではないこと・・・ではなくてマットと寝袋の性能を確信した。だってテントの下の小石に気がつかせないなんてこのマット20枚の敷布団より高性能なんですから。そして800フィルパワーのダウンを内包したこの寝袋は冷え込みを軽々と跳ね返す性能を持っていました。
こうして僕は完璧な寝具を手に入れることが出来ました。


ニーモイクイップメント社は、2002年にカム・ブレンシンガーによって設立されました。斬新なテントやスリーピングパッドなど究極のギアを必要とするコアユーザーに支持されています。
モンベルは1975年、辰野 勇氏により世界で愛される登山用具やアウトドアグッズの開発を目ざして設立されました。寝袋からはじまり現在は総合アウトドアブランドとして世界的にも信頼されるメーカーです。

快適な寝具もまた長い旅には欠かせないアイテムです。野宿を重ねるとやはり疲れは溜まっていきます。マミー型の寝袋は意外と窮屈で手足をのばしてという訳にはいきません。モンベルのスパイラルストレッチシステムは身体の動きに追従する伸びを体感できる工夫がされています。寝袋の中であぐらをかけるほど伸びがあり、窮屈感をあまり感じさせない作りは特筆すべき性能です。ある程度の我慢を強いられるアウトドアシーンにおいても快適性を追求するメイドインジャパンの心配りに脱帽しました。
160×51×2.5cmで377g、一見、頼りなさげな数値でもその快適性は十分なものでした。収納時のサイズは持ち物の制約を受けるバックパッカーにとって重要な要素です。地面から来る冷えは想像以上にダメージを蓄積させます。ダウンの寝袋であってもロフトを稼ぐことの出来ない背中側は寒冷地対策のネックでした。マットの軽量化のためにあけられたスリーブが空気を多く含むことで断熱効果を発揮して寒さをシャットアウトするため、想像以上の快適性をもたらしてくれます。
ボリビアの高地では若干役不足気味ではありますが、カバーとシーツそれとラウンドネックのダウンジャケットとパンツの組み合わせ、ペットボトルを利用した湯たんぽで対応するつもりです。

追記
少し後ろめたい気持ちになった僕は「せっかくだから温泉にでも入っていく?」と聞くと、彼女は「わーイクイクー」とよろこんだ。いつもより少し豪華な温泉を選び、湯上がりの食事をごちそうしてあげた。彼女は若干いぶかしげではあったが、今後も僕は口が裂けても「エンドウ豆の上のお姫様」の話をしてあげるつもりはない。
もう一つ、彼女の名誉のため言っておく。残念なことに立ち寄った温泉は混浴ではなかった。気になる彼女の背中にアザが出来ていたかどうかは今も謎のままだ。

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