これが旅疲れなのかなぁ

IMG_5305明るくなると同時に出発します。路上に飛び出してくる羊に肝を冷やし、路肩を歩く野良犬が飛び出して来ない様に祈ります。メキシコに入ってから路肩に転がる屍体は犬ばかりです。高速道路を走っていても突然現れる穴ぼこは僕の視線を路面に釘付けにします。ずさんな工事による段差や路面に残る溝にタイヤを取られないように常に気を張っていなければなりません。時折、ハッとさせられ体が硬直します。ガタンと乗り越えた後の安堵感が運転の疲れを増幅させます。町に近づくと容赦なく浴びせられるクラクション、ウインカー無しにいきなり目の前に入られる恐怖、後ろに張り付かれ煽られ、バイクのすぐ脇をすり抜けていく車などご当地の運転習慣にいつも肝を冷やします。街中では石畳の恐怖、ツルツルとした石やトッペと言われるスピードを出させないために作られたカマボコ様の出っ張り、鉄でできたハンドボールを半分に切ったくらいの凸凹が路面に一列に並んでいます。数々の難関をくぐり抜けて目的地たどり着いても駐車する場所がわからず、ぐるぐると探し回って凸凹の洗礼を受けているうちに僕の気力はこそげ落とされてしまいます。”あーもういいや”となって退散します。あてにしていた泊まるところを見つけられなかった僕は町から少し離れた街道沿いにあるモーテルに駆け込みます。IMG_5333そこは時間貸しのラブホテル、一泊するには交渉が必要です。面倒な交渉を乗り越えてシャワーを浴び終えてホッとしても食べ物がありません。めんどくさくて乾燥野菜をスープに放り込んで済ませます。隣の部屋から聞こえるでっかい喘ぎ声にうんざりです。携帯に入っている同じ映画を大音量で見ながら知らないうちに寝ています。

 

 

日本を出発して半年、フィリピンから数えれば10ヶ月も海外で生活しています。移動の毎日とトラブルで少しずつ心も体も疲れが溜まっています。定住する暮らしに慣れきった僕はまるで急にリードを外してもらった犬のように戸惑ってしまっています。広場ですぐさま自由に駆け回るけど、気がつくと飼い主がいなくなってしまっていてあれっどうしようと不安にかられた時のような顔をしているに違いありません。異国の地で目まぐるしく変わる環境の変化、衛生面や健康管理、治安への不安が疲れを作り出しています。

名所旧跡に興味があまり湧かなくなります。アラスカの強烈な自然、アメリカの広大さなどに圧倒されました。ちょっとくらいの自然では驚かなくなっています。グランドキャニオンで感じた”ふ〜ん”という感覚がずっと付きまとっています。メキシコの古都で過ごしていてもヨーロッパを感じるだけで”そうそうこんな作りだよね”と思ってしまいます。どこの町も中心にカテドラルがあって周りを取り囲む石畳の道と小洒落た土産屋や可愛らしい建物、どこの町も全部同じに見えてしまいます。教会もしかり、荘厳な作りで・・・わかります。でも全部同じです。タイで寺院を見て回った時のようなワクワク感のなさは宗教の違いからでしょうか、わかりません。

食事に変化が出ません。毎日同じ食事の繰り返し、食べる量も減り美味しいと思うことがなくなりました。メキシコに入り、それはいっそう顕著に現れました。メニューが読めないのでいつもタコス、ホットドックです。節約のこともあり、安い物を選べば選択肢もありません。唯一の楽しみが大きな町にあるスタバのアイスコーヒー、ここなら心配せずに氷を頬張り美味しいコーヒーを飲むことができます。唯一のオアシスになっています。生活のパターンができていないのです。

考えすぎています。僕はまだうがった目で物事を見ています。素直になれていません。汚れた幕の張った目は何も見ることができないでいます。貧乏人を見てもそれを上から目線で見ています。金持ちを見ると傲慢さを感じるのはすでに刷り込まれた思い込みです。貧しそうな村にも笑顔がありますし、都会にも笑顔があるのです。僕はフラットに見ていません。そんな自分に気がついていてげんなりしているのです。別にヨガにはしって自分の内面を見つめ直そうとか、ボランティアに参加して自己満足に浸ろうなどとは思っていないのですが、そうしたことに熱中できる人が羨ましくもなるのです。絶対的自己矛盾に陥ってます。
僕も長期で旅行している旅人の何割かが経験する旅疲れに僕もなってしまった様です。あまりに多くの刺激がありすぎです。退屈などしている暇もないほど毎日が充実しているはずなのです。それを心が拒否し始めています。”見る””聞く””嗅ぐ””味わう””触れる”5感すべてに強烈な刺激をうけるのはストレスになるのだと知りました。初めてのスペイン語圏は強烈なストレスとなっています。何もかにもが新鮮で始めて知るものばかりです。同時にこれまで出来ていたことがある日を境に出来なくなってしまうことへの苛立ちがあります。自分に不甲斐なさを感じてしまうのです。ムカつく車に悪態をつき中指を立ててしまいました。これではいけない、休養が必要だと感じました。

この日は温泉に行こうと思って出発したのに途中で道を間違え正反対の方向に進んでいました。気がついた時には手遅れです。イライラが頂点に達した僕は思いっきり大声で怒鳴り散らしていました。お腹がグーと鳴りました。しばらく行った所にトラックがたくさん停まった食堂がありました。僕はそこで昼食を食べることにしました。IMG_5340若い男の子が元気良く食事を作っています。僕は彼にあれを食べたいと看板にあった写真を指さしました。彼は頷くと手早く作り持ってきてくれました。彼の手にはもう一皿、ぶたの脂身と玉ねぎを炒めた皿を持っています。これを食べなよと言ってテーブルに乗せてくれました。それは非常に美味しく僕は彼に親指を立ててブエノと言うと彼はもっと食べるかと言いましたが僕はお腹いっぱいです。こんなに食べたのは久しぶりでした。店から人が引けた後、僕は彼と少し話をしました。たどたどしいスペイン語でしたが会話は僕の心を落ち着けるのに十分なものでした。僕はメキシコシティーの日本人宿に向かうことにしました。そこで少し休むことに決めました。

 

IMG_5344 IMG_5346メキシコシティーの日本人宿

ペンションアミーゴ

住所: Ponciano Arriaga 12, Tabacalera, Cuauhtémoc, 06030 Ciudad de México, D.F.

1泊 100ペソ2泊目からは90ペソ

シャワーは温水、朝食つき

利便のよい場所にありコンビニ、屋台もすぐ近くにあります。バイクは中庭に置かせてもらえました。

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