ラスベガス滞在

ラスベガスにて

まずはホテルべラジオの噴水をどうぞ

 

IMG_4798アーケードを行くと若い日本人女性がいます。何やら募金を募っている様子。声をかけられ止まります。彼女は少女買春を食い止めるNPOのメンバーでした。僕はなぜこの町なのかその理由が知りたくなりました。だってここはラスベガス誰もが知っている歓楽街です。買春を生業とする人たちも当然いるでしょう。いわゆるプロの売春婦です。映画やドラマにもなるほど認知度があるのです。善悪の問題、合法であるかどうかは別にしてこの街を支える一つのビジネスになっています。ラスベガスの郊外を見ると平均的な家が立ち並ぶ住宅街があります。所得が安定していることが伺えます。また交差点にはお金を乞うホームレスが点在します。得てしてホームレスの多い町ほど貧富の差は少なく雇用も十分にあったりします。収入が生まれれば教育も受けることが可能なはず。それを日本人がわざわざこの町でNPOまで立ち上げて買春を防止する活動をするのが不自然に思えたのです。15歳から18歳の少女たちによる買春組織があり、悪い男から逃れられなくなっている少女を救いたいと熱く主張します。精神的に弱い少女達にたくみに近づきやがて買春をさせる構図を撲滅したいんですと力強く言っています。そのためには教育が重要で私立の学校で啓蒙活動をするための募金を募っていると説明してくれました。

僕は”あれっ”と思いました。なんで公立ではなく私立の学校なのか私立の学校に通う子は裕福で生活が安定していうはずだからです。公立に通う子達こそ親の収入が少なく買春やその他の非合法なことに染まる確率が高いはずだと思ったからです。ダイレクトに聞くことを少しためらった僕は違う形で質問をしました。「なんでアメリカなの?東南アジアでの幼女買春やヨーロッパでの人身売買組織による誘拐、麻薬など世界にはたくさんあるでしょ?この街ではそこまで悲惨な状況は見られないような気がするのだけど、ほらあそこの娘だって多分そうだと思うんだけど」と言うと彼女は多分プロですねと言います。

 

彼女はカンボジアやラオスにも滞在した事があるといいました。僕はすかさず、なぜスワイパー村など悲惨な児童売春でなくここにいる分別のある若者なのかと聞きました。乱暴な言い方をすれば自ら望んで高収入のコールガールになる娘もいると思うのです。こうした街では立派な職業として成り立っていることを彼女も知っていました。熱く語ってはくれましたが、なぜか説得力に欠けるのです。東南アジアの売春問題は知らなかったと言います。確かにほとんどの日本人はそんな裏社会の構図を知ることもないでしょう。ただ、東南アジアでの買春産業があることぐらいは誰でも知っているのではと思うのです。僕はこうした活動を知識なしにするのは危険だと思っています。特にマフィアなどの組織が絡むような場所では自身の身に危険が降りかかる事だってあるからです。若さから来る思いの強さで怖いもの知らずに活動するのは危ないなぁと思いながら彼女の話を聞きます。NPOが作ったビデオの購入を勧めてきますが、聞くとウェブサイトでも見れると言うのです。ドネーションの額が20ドルと決まっているのも引っかかります。メッセージボードを改めて見ると子供、助けると単語だけが羅列してありメッセージがないのです。僕は頑張ってね、あとでウェブサイトを見るよと言って彼女と別れました。

翌日も彼女は午前中から路頭に立っていました。向こうが気がついて声をかけてきます。僕はいつまでいるの?VISAはどうしているの?アメリカでの取得は難しいでしょ?と聞きました。彼女はフィアンセがアメリカ人だと言います。それじゃもうすぐ結婚だねと茶化すと。時期は決まってないと言います。彼はやりたい事があるそうです。ここで僕はピンと来ました。彼女の目はまっすぐに僕を見ています。彼氏を疑うことなく信じている目でした。それは新興宗教にハマった信者の目と同じ目をしていました。少女売春の組織と同じ構図だという事に気がつかず、懸命にお金を貢いでいるのは彼女でした。僕は彼女の一途な姿を見てそれを言うことはできませんでした。あたらめて他のメンバーを見ると緩慢な動きでハローと手を振っています。昔、世間を騒がせたテロ集団の信者と同じ動きです。どことなく不自然で見るものに違和感を与えるあの動きでした。僕は彼女にそれを言う代わりにビデオを買ってあげました。彼女の売り上げが彼氏と言う名の元締めを喜ばせるだけだとわかっていても、それが彼女の心を救う事にならなくてもいいのです。僕にできる事など何もないのですから。
ヨーロッパ化しているラスベガス

IMG_4816 IMG_4815 IMG_4859カジノの中を結構な数の電動車椅子が走っています。彼らはあちらこちらで人とぶつかっています。アメリカは寛容な国なんだんぁあんなにぶつかっていたらきっと問題になるだろうにと思っていました。エレベーターの中に入る時もバックで人の中に突っ込んでいきます。案の定ドアに近いところの人にぶつかってしまいました。ぶつかれた方もちょっと痛そうにしています。明らかに我慢しているのがわかりました。随分と乱暴だなぁもう少しそっと入ればいいのにとシニアカーに目をやると前かごにTRY MEと書いてあります。あれっと思ってよく見るとホテルのシニアカーでした。
カジノの中をよく見ると同じタイプのシニアカーがたくさんいました。そして驚いたことすっくと立ち上がってマクドナルドやビールを買いに行っています。僕は合点がいきました。彼らは歩くのがめんどくさいのです。車社会に染まりきってジャンクフードばかり食べてきたのでしょう。すぐに体は大きくなり歩くことが億劫になってしまった彼らはシニアカーに目をつけて建物の中ではそれに乗り換えているのです。なんという怠慢、ここはラスベガス。現代によみがえったソドムです。デップリと太った体を重そうに引きづりながら手に抱えた特大のカップと一体いくつ買ったのだと思うほどのバーガーを抱えてドッカリとシニアカーに腰を下ろすとスロットの前に戻り、ベトベトになった手を舐め舐めスロットマシーンを叩き続けていました。

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ダウンタウンから出て空港近くのおなじみのラスベガスに行ってみます。べラジオホテル、ニューヨークニューヨーク、ルクソール、マンダレーベイ、フォーシーズンズが並びます。街を行く人々の服装が違います。ホテルに入ると明らかに階級の違う人たちが優雅に歩いています。カジノのディーラーもお品があります。広々としたカジノの中を走り回るシニアカーは見当たりません。僕はポンと膝を叩きました。ダウンタウンで遊ぶ人たちとは明らかに違うのです。世界中から集まったお金持ちが来る街と国内旅行で遊びに来るアメリカ人たちはすみ分けていました。

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ヨーロッパのような明確な住み分けがみられないと思っていたアメリカにもやはりそれはあったのです。パリでは高級ブランド品店が並ぶ通りに一般の人はいません。またその逆に下町っぽい場所にブランド物を抱えた人もいないのです。両方にいるのは中国人と日本人です。昔から階級制度があったヨーロッパでは住む場所、着るもの、レストランまでそれぞれの階級の人が行く場所が決まっていました。そう言った場所では足元をみられるのです。その場にふさわしいかどうかは店側が決めるのです。移民の国アメリカは、ヨーロッパでの暮らしに失望し新天地を求めて移民してきた人々の国です。洋服が短パンTシャツで何処へでも行けたり、気さくに話しかけられる雰囲気はそんな時代背景からきているのです。3人組が破天荒な一夜を過ごす映画「ハングオーバー」で違和感を感じたのは3人の服装でした。映画だからとばかり思っていましたが、周りに溶け込めていなかったからだとわかりました。あの映画の舞台がダウンタウンであればしっくりきたのかもしれませんが、映画の中で目立たなくなってしまったでしょう。

世界的に有名なこの街に多くの観光客が来ることで再び住み分けが生まれたラスベガス。ベンジャミンシーゲルもまさかこんな街になると想像できなかったでしょう。ハワードヒューズによりマフィアを一掃し、スティーブ・ウインによってエンターテイメント化されたこの街はある意味でアメリカらしさを失ってしまったのかもしれません。ダウンタウンに残るギラギラのネオンやノスタルジックなサインボードが以前をしのばせてくれます。とはいえやはりここはアメリカ、毎晩開かれるエンターテイメントのショウは人々を魅了する物ばかりです。マイケルジャクソンワンを見に行きました。まるで彼がいるかのような舞台でした。ストーリーもしっかり構成されていて時間を忘れる楽しさです。楽しむことに全力を注ぐアメリカのお家芸はラスベガスでも健在です。

 

今日の一言
ラスベガスはお気に入りの街になりました。夢と欲望をむき出しにしたような街ですがどこか間が抜けたところがあって、喜怒哀楽がはっきりと見て取れるからかもしれません。スロットで当たって大喜び、ルーレーットで全部チップをさらわれて意気消沈する彼らを見ているとホッとした気持ちになりました。アーケードのあちこちで繰り広げられるパフォーマンスを眺めながら歩いていると東南アジアの歓楽街にいるようにウキウキとした気分になりました。久しぶりのホテル滞在も旅行気分を盛り上げてくれたのだと思います。毎日取り替えてくれるタオル、部屋に戻ればベッドはピシッと整い、アメニティーも補充されています。シャワーを贅沢に独り占めでき時間を気にすることなく思う存分浴びることができるのはいいものです。

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