よろず走り書き9

農業酪農の町
サンフランシスコの良いところは農業もしっかりと根付いているところ。観光客だけを目当てにせず、しっかりと大地に足を踏ん張って人々の暮らしがあるところです。ほんの少し郊外に走っただけで一面に広がるぶどう畑、農場には乳牛がのんびりと草を食んでいます。地元の町には地産の料理を出すレストランに人気があり、人が自然と集まってきました。老若男女思い思いに食事を楽しんでいます。生演奏に合わせて踊る夫婦、孫とあばあちゃん。こんな暮らしができるのは彼らが農業をしっかりと仕事として向き合っているからだと思います。

東京も昔、練馬では農業が盛んでした。近代化の波に飲まれる形で縮小の一途をたどってしまいました。新興住宅地に越してきた人々にとって農業は臭く、埃っぽかったのでしょう。僕が小学生の時に見た教科書には当時の練馬には牛がいたのです。立派な大根を持った百姓が載っていました。人々は都会に暮らしながらも地に足をつけて暮らしていました。いつしか虫すらいないコンクリートで塗り固められ、突然の豪雨に人命を失ってしまうような場所になってしまいました。

でも、そんなサンフランシスコもいいことばかりではありません。ぶどう畑で働くことは大変です。特に白ぶどうの収穫は気温の低い夜間に行われます。仕事に従事する人々はメキシコからの移民や不法就労で賄われているのです。彼らに対する対価は低く、生活に格差があります。一方、白人もホームレスが街にはたくさんいます。働くことを拒み、物乞いや大道芸でその日の暮らしをするのがやっとの人たちです。昼間の仕事は暑く、風に舞った埃にまみれながらのものです。いい暮らしを見てしまった白人がやりたいとは思うはずもないのです。

素晴らしいワインや鳥の料理、海産物が揃うこの豊かな場所はアメリカ有数の観光地でもあるのです。一体お金はどこから来てどこに行ってしまったのでしょう?手に汗して泥にまみれる仕事が僕は好きです。寒い海で魚を獲る仕事が僕は好きです。作る者と作らざる者の間にある取引がもっと大切にされればいいのにと思います。

カリフォルニアは冷たい海と素敵なビーチ、西海岸らしいオシャレな街並みのイメージがありますが少し内陸に入れば農業が盛んです。ホップ、オレンジ、レモン、ぶどう、ポテトにレタス、様々な農産物の畑が現れます。少しスピードを落とすとヘルメットの中に家畜、草、土、ウンコのにおいが充満します。酸っぱい、甘い、濡れた、乾いたいろんなにおいです。僕はこのにおいが大好きです。海岸沿いは潮の香り、砂のにおいがありました。いつから人はこのにおいを嫌だと感じるようになってしまったのでしょう。毎日自分たちの口に運ぶ食べ物が出来上がっていくにおいが悪いにおいのはずがありません。風が運ぶ情報によって人は食べ物の旬を知り、豊かな食生活を送って来たのです。

子供の頃、畑に行ってもぎたてのキュウリやトマト、とうもろこしを農家の人に売ってもらったり、養鶏場に行き生みたてでまだ温かい卵をカゴに入れてもらったりするのは楽しみの一つでした。季節が変わり畑に倒れたとうもろこしの茎を見たり掘り返された土塊を足で踏んづけてつぶしたり、鳥のウンコをもらって花壇に撒いたり。サンフランシスコにはまだそうした暮らしが残っていました。いつまでも素敵な暮らしが続けばいいなぁと祈るばかりです。

Pigeon point hostel

IMG_2533 IMG_2532サンフランシスコから70キロほど南へ下った岬にそのホステルはありました。古い灯台の脇に建てられた家がPigeon point hostelです。
強い風が吹き付けるのでしょう。ホステルの周りに立つ木は曲がっていました。古い灯台のたもとにあるこのホステルはとても素敵なホステルです。とても安宿には見えないけれど1泊29ドルで泊まることができます。
IMG_2505 IMG_2498受付を済ませて部屋に入る小綺麗な2段ベッドにきれいな寝具がありました。たくさんの充電器に占領されたコンセントの一つで僕も充電をします。誰もいない部屋で荷物の整理をして、メールのチェックをしました。1時半過ぎにチェックインできたので今日はとてもゆったりと時間が流れています。ひとしきりチェックをした後、庭に出ます。風にさらされペンキの剥げたベンチに腰を下ろしてカリフォルニアの冷たい海を眺めます。海からの風は少し冷たくて火照った体を冷やしてくれました。少し肌寒くなったので岬の先まで続く木道を歩きます。夏の日差しと乾いた風が心地よくて洗濯をしなくちゃと思い出しました。セスナがすぐ目の前を低空で海岸沿いに飛び去っていきます。他の泊まり客も写真を撮ったり、本を読んだり、皆さん思い思いの楽しみ方をしているようです。

シャワーを浴び洗濯をすませました。先ほど座っていた椅子に濡れたシャツを引っ掛けて煎れてきたコーヒーを飲みました。すぐ後ろのベンチにはドイツからきた二人連れの女の子が明日の計画を練っています。彼女たちは明日、サンフランシスコへ向かうというのでピーターと行ったレストランを教えてあげました。部屋に戻るとニューヨークからきた青年と会いました。少し話すと僕らはすぐに打ち解けて互いのことを話しました。彼はアラブ系アメリカ人でいかにもニューヨークっ子といった話し方をします。それが僕には楽しくてそれってどどういう意味などとすぐに聞いてしまいます。彼は食材を買いに町に行くと言って出かけて行きました。僕も食事をすませコーヒーを飲んでいるとドイツからきた子連れの夫婦が話しかけてくれました。僕は英語をフィリピンで習ったことを話すと奥さんが子供に諭すように勉強しなきゃといった感じのことを言っていました。僕はすぐに男の子にすぐに喋れるようになるよ大丈夫と言ってあげると、奥さんはあなたドイツ語がわかるの、いまあなたのように勉強しないといけないと子供に言っていたのよと驚いた顔をしています。世界共通、親が子供に言うことなんて同じです。

暗くなり、僕は再び外に出ました。灯台に火が灯り点滅しています。そこへ先ほどのドイツ人の女の子とニューヨークっ子の彼がやってきました。女の子はポシェットからタバコの葉っぱと包み紙を出すとクルクルと器用に撒いて火をつけました。一緒に少し歩きませんかとと青年に誘われ、彼らのような若い人と一緒では悪いかなと思いましたが暗い道を散歩しながらいろんなことを話しました。彼らは僕のことを知りたがり、メールアドレスやブログのことまで全部その場でチェックしていました。部屋に戻り、今日書く予定の英文を見せると彼らはすぐに飛びついてたくさんのことを教えてくれました。

翌朝、僕はお礼に彼に朝食をご馳走しました。ちょうどフラッフェルがあったのでそれとオートミール、スープをつくってあげました。彼はとても喜び、何度もお礼を言っていました。それを見てまるで自分のようだなぁとおかしくて、いつも言われているようにいいんだよありがとの一言でというと彼はちょっと照れたようにはにかんでいました。

Happy burger diner

IMG_2629IMG_2627IMG_2619ヨセミテにほど近いマリポーサという町にあるこのレストラン。ピーターがメールで僕と別れた後送ってくれていました。そこにはIf you are hungry in Mariposa stop at Happy Burger and have a baked potato. They are the best!と書いてあります。少し早い夕食ですが僕はここで食べることにしました。店はいかにもドライブインといった感じで店内にはジュークボックスからオールディーズが流れ、カウンター越しにぽっちゃりと太ったカワイらしいウエイトレスが甲高い声で注文はと聞いてきました。僕はピーターからのメールを見せ、ベイクドポテトが食べたいというととても喜んで3種類あるポテトの説明をしてくれました。僕はBroc&chzpotを頼むと彼女はだと思ったわ、あなたの顔を見ればすぐにわかったわと言います。たっぷりのブロッコリーとチーズ、ジャガイモが溺れるほどの溶かしバターの海にホックホックのジャガイモはアメリカの味がしました。やはり僕の知っているアメリカは田舎町にあるようです。

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よろず走り書き9」への2件のフィードバック

    1. HIDEKI 投稿作成者

      あおきさん
      サンフランシスコでの数日は本当に素敵なことばかりでした。ビニルの家に泊まって、乾いた食材に水を足して、もぞもぞと体を拭かなくていい暮らしは快適ですね。人が暮らす場所を旅するとどうやら素敵になるようです。ワイルドライフにずっといると野生化してしまうので、たまに人里で暮らすのがいいようです。

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