よろず走り書き4

あんまり好きじゃないかも
image鳴り物入りで迎えたジャスパーバンフの旅。まさにカナダのハイライトというべき場所・・・のはずだった。でも来てみてがっかりというかあんまり好きではないと感じてしまったのは、車と人の多さ。車は列を作りえらく飛ばしている。カナダ人の運転はそれほど悪くないと思っていたが、団体になるといけない。闘争心に火がつくのか抜きつ抜かれつを繰り返しながらまるでレースでもしているような速度でぶっ飛んで行く。90キロで走っている僕があっという間に抜かされるのだから彼らの速度は130は出ているだろう。何もあんなに急がなくても景色を見ながら走ればいいものをと思ってしまう。V8のトラックにトレーラーハウスをくっつけてさらに自転車などを満載してかっ飛ばす彼らの急ぐ先はキャンプ場であったり町のホテルだ。彼らは自分の家の生活をそのまま持ち込んで遊ぶので途中の行程など眼中にないのだろう。こちらはバックミラーが気になって景色どころではなくなっているのを少しは理解してもらいたいものだが、ガンガンと煽られてタジタジとなる。彼らが5台を超える列を作ってやってきたときはハァとため息が出るようになってしまった。

人の多さも特筆もの。有名観光地の性ではあるけれどどこも観光客でいっぱいだ。ジャスパーの町然り、物価は高く日本食レストランがあったのでメニューを覗いてみると、弁当が4000円近くする。全くもって馬鹿らしい値段だ。どこもみる気になれず燃料のアルコールだけを買って退散する。ジャスパーにはロープウェイで山頂近くまで行ける山がありそこから40分ほどで山頂に行けるとあったのでその気になっていたのだけれどロープウェイのところへ行くと長蛇の列。恐れをなしてこちらも退散した。日本ならテキパキと捌くのだけれどカナダではその感覚はまったくないらしい。ガソリンスタンドやスーパーのレジもしかり、一体何を話しているのかと思うほどレジで会話が弾んでしまう。一人の清算が終わってからが同じ時間をかけて会話しているのを見るとイライラしてくるが、いざ自分の番が来ると「やーこんにちは、元気だよ君はどうだい」などとシレッと言っている自分にゾッとする。そんなだから観光地では行列が当たり前。アラスカやユーコンで田舎を見てきた僕には耐えられないのでせっかく来たが目玉となる場所に興味を失ってしまう。

のんびり走りながら今日のキャンプ場でもと思ったが、どこのキャンプサイトもすでに人でいっぱいで1サイトも空いていない。仕方なくどんどん南へと下るが5つのキャンプ場全てがいっぱいだった。時計をみると6時近い、さすがに焦り出したがキャンプ場が一杯ならこのまま国立公園の外に出てしまおうかと考えていた。明日ゆっくり見ようと思っていた大氷河のところまで来てほぼこれはダメだなと思った途端、小さなキャンプ場を見つけた。ここは車で入ることができないキャンプ場なのでトレーラーの奴らは入ってこられない。それではと覗いてみると、幾つかの空きがあった。場所も氷河からすぐでまさにうってつけのキャンプ場を見つけることができた。
結果は良かったがこれほど人が多くてワチャワチャしていると日本の上高地や軽井沢にでもいるような気分になってくる。景色は素晴らしいがあまり好きにはなれないかもしれない。キャンプ場にはならず者がいて騒いでいることがあるが今日はそんな不届き者はいなかった。

男性的女性的
image「素晴らしい日ね、おはよう」トゥエズルの朝の挨拶は天気の良さを讃えることから始まった。厳しい冬の寒さを互いが知っているからこそ短い夏に感謝して素晴らしい日差しに感謝できるのだろう。北から下ってきた僕はカナダに入りなるほどと感じたことがあった。山が高くなり植物に多様性が出てきた。森の木々は針葉樹林から広葉樹が混ざった森に変化して道端に咲く花は色とりどりになっている。ヘルメットに当たって潰れる虫からも黄色や緑、赤の液体がへばりつくようになり「あー今の虫はこんななんだ」と目の前で糸を引く残骸を眺める。鳥のさえずりも増えてきて様々な声が聞こえるようになった。自然は穏やかになり、人と動物が共生していることがわかる。森と人が住む場所の間には雑多な感じの草むらが広がり緩やかな境界線を引いていて互いに棲み分けている。
ここの人も動物は優しさがあるように感じる。カナダにも荒々しい風景はあるのだがアラスカのようにやさぐれてはいない。バブルの頃にいた悪女を装いながらも実は心根の優しい気だるげなハウスマヌカンのような装いがあって一見、性悪に見えるがそうではないとすぐにわかる。アラスカは人を拒絶するような厳しさがあった。限られた者しか生き残ることを許されない環境があった。多様性は失われ、同じ光景となった。イヌイットの人々以外の人間がここで暮らすには英知を集めて全て人口の物を持ち込まなければならないことは容易に想像がついた。そんな中で暮らす人々はとても優しかった。弱き者を助ける男性的な優しさを感じることが多かった。一方カナダではユーコン準州以南に暮らす人々は自然に寄り添って生きる優しさがあった。幸せを皆で共感するような女性的な優しさを感じた。

Wilcox Pass Trail
image泊まったIcefieldキャンプ場の裏山にトレイルがあることを聞いて歩こうと思い立った。カナダにはいいトレイルがたくさんあるはずだと思っていたのでいい機会となると思ったから。隣のテントの女の子が歩いてきたというので話を聞くとキャンプ場のすぐ裏から登りだすと氷河を見渡せる。道はそこから二手に分かれ一つはそこの山の頂上に、もう一つは平坦な道が10kmほど続いているという。それを聞いて距離もちょうどいいし是非とも歩いてみたくなった。朝9時に出発。すでに日差しが強い。標高が高いのでなおさらそうなのだろう。息も切れる。急な坂を登りきると森林限界を抜け高原になった。岩山が両側から迫り、人っ子一人いない草原を挟むような地形になっている。細いトレールを歩いていく。小川が流れていて見つけるたびに水を飲むと水源が違うのか味も異なっていた。マーモットやリスが慌ただしくこちらを見ては隠れていくのが笑える。ゴープロでビデオを撮りながら思っていることを口にしていく。誰一人いない場所を歩く快感は観光客の靴で汚れきった氷河より何倍も綺麗だと思った。しばらく行くと踏み跡が不明確になり、草むらを進む。こうした時に感じる不安は自分の旅ににていると思った。自分の居場所が確かな時は旅が前人未到の大冒険のように思えて、その勇気に酔いしれるが、いざ旅が始まってみれば自分の小ささだけが浮き彫りになり、途方にくれるがすぐに解決法が見つかる。誰しもが一度は通った道であることに気がつく。道が見つかった時の安堵感に嫌気がさしてくるが、自分の旅も同じなんだと言い聞かせた。

Garret くん
imageいつも氷河の上で寝っ転がったり滑ったりしているせいか色白で弱々しい顔つきで背が高い。ベンチに腰掛けて本などを読んでいる姿をみると、とても山登りには向かなそうな青年であるけれど野良仕事も無理そうな感じだ。「いつか7大大陸の山を制覇するんだ」と遠い目をしながらうっとりと語っていた。7大大陸はどこだったかしらと想いを馳せてみる大きな山ならエベレストはユーラシア大陸、アメリカを南北に分けてマッキンリーとアコンカグア、南極大陸にはヴィンソンマシフ、アフリカのキリマンジャロ、・・・ここまでは浮かんだがそれからがいけない。どうにも思い出せずに思案顔になってしまう。それに気がついたのかギャレット君は「世界一周みたいなものさ」と笑いながら言った。きっとモノを知らない日本人だと思われたにちがいない。
image彼の食事は質素でパンに何かベトベトしたモノを塗りたくり、きゅうりをバサバサと切って挟んでおしまい。食べるのかと思いきやビニルの袋に入れてしまった。きっとお弁当なのだろう。それとペットボトルの水を5本リュックに大事そうにしまっていた。食べないのかと思ったら何かの袋を取り出している。それはなんだと訊ねるとフリーズドライだと言って見せてくれた。パッタイと書いてある。タイフードなのかというと彼はおかしそうに笑いながらこれはとっても美味しいんだ。他にもこんなのがあるぞと言って出したのはフリーズドライのアイスクリームだった。袋に宇宙飛行士の絵が書いてあり、彼は宇宙飛行士のために開発されたモノだから味はいいはずだと期待に鼻の穴を膨らませて力説した。結局それは食べずに大事にまた袋の中に収めてしまったのできっと何かの大切な記念に食べるのだと思うことにした。

マルシアさん
image強そうな目をした美人のマルシアはシアトルに住むアメリカ女。細身でヨガの先生でもやっていそうな感じで細い手足をグネグネとさせながら話しかけてきた。彼女もバイクに乗っているのでてっきり旅人かと思ったが山登りの練習に来ているという。あなたは明日は何するのというので明日へ裏山へハイキングに行くというと「それはいいわね。氷河には行かないの、私は明日氷河の上で練習があるのよ」と言いながら仰向けになってみたりうつぶせになってみたりのフリをしながら「転んだ時の練習や氷河に落ちた人の救助を習うの」と愉快そうに笑っている。僕は「氷河にはアラスカで行ったので行かない。あそこは人が多くて嫌いだし、遠くから氷が崩れて人が飲み込まれてしまうのを向かいの山から眺めることに決めている」というと「私も人が多いのは嫌い。でも私たちは人のいない場所で練習するので氷には飲み込まれない」と自信たっぷりに言った。
imageimage彼女はクッキーをくれて、根ほり葉ほりいろんなことを聞いてくる。あまりキャンプのことやバイクのことを知らないんだというと、突然目を輝かせてたくさんのことを教えてくれた。食べ物のことやクッキング用品、キャン王道具に関する全てをことあるごとにやってきては一気にまくし立てて帰っていく。翌日も同じようにやってきたが、今度はクッキーを焼いてくれていた。とても美味しいのでどうやって焼いたんだと聞くと鉄製の小さなフライパンを出し、うんちくを語り出した。彼女の食べ物は大きな熊よけの箱に入っていて中にはぎっしりとあらゆる食材が詰め込まれていた。Falafelというひよこ豆を引いた粉を出し「これはいい、健康にいい、ベタベタするけどあなたも食べるべきだ」と力説が始まった。これはフィリピンで一緒だったマサコさんから聞いていたバンクーバーに行ったら絶対に食べるべきものだと言われていたが結局見つけられなかったものだと気がつく、こんなところで見ることになるとはこれは買わないといけないと改めて心に決める。あなたには何か特別なものはあるのと聞くので「ない」と答えるとこの日本人は何にも知らないのねといった顔になる。これ知っているとと出したのはスノーピークのガスコンロ、その素晴らしさを説明しこちらの顔を覗くので「これは日本の新潟で作られているのだ」と答えるとなぜお前は使わないのだという顔になったので退散した。

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キャンプにはその人の個性が強く現れていて、見ていて楽しい。うんちくを聞いたり自慢話をされたりするとなお嬉しい。全員が全員、皆自分が一番だと自負しているのがいい。中にはほお、ふむと頷いてしまう秘密があったりして経験無くしてベテランの域に容易に達することができる気がする。ドイツ人は一体どれだけ食べるのかというほど食べ物を抱えていて、デザートまで用意してある。なんと50リットルのバック全部が食料であった。ああいう風にはなりたくないと密かに思いながら愛想笑いだけはきっちりと出来るのは日本人のいいところだ。
デンマーク人は質素でパンをそのままかじり、水をペットボトルからがぶ飲みしておしまい。明日は5時にここを出るんだと言って小さなテントに入ってしまった。中国人は一番後からやってきて泊まる場所がないのでドイツ人に頼み込んで隣にテントを張らせてもらっていた。もともとおとなしいデンマーク人の場所にドイツ人が割り込んできたのに、中国人はドイツ人の場所だと思ったらしい。こちらに来たら絶対に断ってやろうと決めていたが、ドイツ人は図々しくいいよと答えている。まったく信用ならない奴だと呆れてしまった。中国人はもの欲しいそうにドイツ人の食事を眺めていたがドイツ人は気にも留めずに全部平らげてしまったのでがっかりして「あはは」と笑っていた。僕は声に出さずにwwwwwと草生えたとニンマリとして持ってきたウイスキーをがぶ飲みして気持ちよくなって寝てしまう。

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今日の一言
ウイスラーに戻りました。久しぶりのウイスラーはとても眩しく見えました。人も建物も全てがキレイでした。まるで現実の世界はおとぎ話のように全てが揃っています。到着したその夜ぶ食べた食事は感動するほど美味しかったですし、ビールの味はこんなだったのかと驚くほど美味しく感じました。
これまで歩き見てきた風景は実はウイスラー周辺にすべてあったのだと気がつきます。美しい山と氷河、そこから流れ出た水で作られる氷河湖と川、森林帯から高地にかけての色の移り変わりなど、実はすべてがここにはあったのです。隣町のペンバートンには田舎の風景が、ウイスラーには自然と都会の調和があってここを訪れればカナダの西海岸はほぼ満足できるくらいには見ることができるでしょう。そのことに気がついた僕はアメリカに向かうことにしました。カナダでやるべきことはダイソーとバイクのメンテです。

 

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よろず走り書き4」への2件のフィードバック

  1. あおき

    なんだかドマドームが本当に辻さんのお家に見えてきました。
    とても快適そう。
    山でもテント場にいるといろんな過ごし方をしてるひとがいて
    それを見て回るのが好きです。
    それがまたいろんな国の人となると、面白そう!

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    1. HIDEKI 投稿作成者

      あおきさん
      人が使っている道具を見せてもらったり使い方を聞いたりするのは楽しいですよね。特にこだわりがあって使っているものやお気に入りの道具は説明にも熱がこもっていて試してみたくなるものがあります。食材は特に参考になってます。外国のテントは全体的にフライシートが小さめでテントの生地もペラペラです。きっと気候の違いなんですね。ドマドームはフライが全体をすっぽり覆うのでこれだけ乾燥していても結露が彼らのものより多い気がします。

      返信

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