タケヤンと別れを惜しむ。この旅で始めてさみしいと感じた。今日はデナリ国立公園を目指す。特に目的もなくマッキンリーを見てみたいと思っただけ。タケヤンに教えてもらったキャンプ場を見逃し、気がつけばデナリまで来てしまった。戻るのも癪だし、何しろ寒い。季節が変わっているのがわかる高いところにある木々の葉は所々黄色く紅葉し始めている。アラスカの夏は一瞬で過ぎてしまうのだと知る。手袋を冬用に交換した。雨がポチリとヘルメットに当たる。ますます冷え込みデナリではさすがのアメリカ人もパーカーにヤッケを着込んで寒そうだ。ここでキャンプは辛いなぁと思いながら南を見ると晴れている。あの晴れたところなら暖かいかもしれないと思った。マッキンリーはまったくの雲の中、どこがどこやらまったくわからない。それでなくとも毎年7月にマッキンリーを見れる確率はとても低いので明日まで粘ったとしても見れないだろうと考えてバイクを先に進めていった。
道路工事の女が僕を止めた。マッキンリーはどっち?と聞くとあの腰から下だけ見えている山よという。上は雲が覆いかぶさりまったくだが、高そうな雰囲気に満ちている。今朝は見えたのよでも今日はもう無理みたいと女は言って、さぁどうぞと道を開けてくれた。しばらく行くと何やら雲から出ている。もしやと思いバイクを止めるとマッキンリーの上の方が見えている。慌てて携帯で写真を撮るが綺麗にはいかない。それでも見れたのは本当にラッキーだった。デナリに残らずここまで進んできたのは正解だった。
ガソリンスタンドを探すが国立公園内にはないので、ガス欠におののき始める。次のガソリンスタンドをGPSで探すと、行き着けないかもしれないと不安になってきた。燃費運転を心がけのんびりと走る。まったく経験が役に立っていない。愚か者とは僕のことだと今更わかり凹む。幸運なことに地図に出ていないスタンドが現れ飛び込む。ここはどこだと聞いてタルキートナの近くであることを知る。行き方を聞いて今日の宿泊場所にしようと決めた。
町の入り口にビジターセンターがあったので入ってキャンプ場のことを聞くと、ドミトリーもあるという、値段を聞けばキャンプ場は$25、ドミは$23でWIFIもあるというので即決した。
タルキートナは植村直己が犬ぞりの練習のため滞在した町だったと記憶している。想像では小さな田舎町だと思ってきたがなかなかの観光地のようだ。アラスカ鉄道の駅もあり、観光客で賑わっている。町は手作り感満載の牧歌的な町で、昔の清里を思い出した。
ドミではすぐに打ち解けることができ、みんなから質問攻めにあいタジタジとなるが、みんな口々にすごいね、羨ましいね、僕にはそんな真似はできないよという。それは僕が免許を取って1年、バイクは始めて、英語もできなかったのでフィリピンで習ったと言ったからだ。とても快適な宿でおかみさんも優しい。本当はダメな洗濯機も使わせてくれたしフェアバンクスのオンボロとは大違いのキレイさ。何より泊まっている人がいい感じなのがいい。
町は徒歩でも15分もすれば全部見れてしまうほどのこじんまりとした場所。でもそこここに感じのいい建物とかがあり気に入った。
今日の一言
今日は趣向を変えて、旅ブログ風に写真を紹介しようと思います。
マッキンリーがお分かりいただけるでしょうか?雲の中から少しだけ見えた頂上です。本当にラッキーでした。イモトさん登頂したのかな?
ヒヤヒヤしながらやっとついたタルキートなの町です。とても可愛い感じです。
トナカイと記念撮影です。ツノを思いっきり掴んでやりました。と言っても木馬君です。
今日の宿はこんな感じ、可愛らしい建物だと思いませんか?他にもこんな感じのドミもあります。レストラン併設で良さげです。
宿で知り合った友達、ベルギー、アメリカ、コロンビア、アメリカ人でパイロットになるためにこの町でレッスンを受けているそうです。セスナのパイロットになるのが目的だそうで、50日ほどで簡単な免許が取れると聞いて驚きました。
夕食を済ませ近くの川に行くと何とマッキンリーが姿を現しました。少し遠目になってしまったけどとてもキレイでちょっとジーンとしました。
マッキンリー見えましたか!
良かった良かった。自分の事のように嬉しいです。
15日に1回見えるか見えないかなんて聞かされると、当然見れないと思って今いますよね。
そんなとき、あのでっかいマッキンリーがどっかーん!と見えた感動、私も昨日のことのように思い出します。
旅を楽しんでる様子、文から伝わってきます。お互い安全運転でいきましょう。
けんいちさん
とても綺麗な山でした。アラスカでは風景に見とれることがよくありました。ただ見ているだけでいいというか、写真とかに残せないものがたくさんありました。カナダの自然は優しく、アラスカは荒々しい感じでした。どちらもいいのですが寒いのはちょっと参りました。