野宿野郎

image野宿野郎という冊子がある。寝袋一丁でどこでも野宿してしまう少し破天荒な企画がうけてか最近はあちらこちらの記事に取り上げられている。
海外の野宿はキャンプなどの他は危険といわれるが今回始めて街中で野宿を決め込んだ。田舎とはいえ港近くにで夜間の人通りは少なく、それなりに用心するに越したことはない感じの場所だ。
でも、僕には強い味方が出来ていた。
imageホームレスのマリットを見たのはアラスカフェリーの待合室。外は大粒の雨と強い風が吹いていてとても長くはいたくない天候の中、ベンチに薄手の寝袋一丁にくるまりグーグー寝ている猛者がいた。トイレに起きてきた彼は驚くことにアロハを着ているだけだ。こちらはフリースまで着込んでも寒いというのにアメリカ人の感覚がますますわからなくなった。僕は「明日まで寝てるの」と聞くと「なんで知ってるんだ」と少し怒った感じで答えてきた。僕は「イヤ、ただ想像しただけ」と答えたところから始まった。
僕はかなり悩んでいた。ユースホステルに泊まれば暖かなベットと熱いシャワーにありつけるが、ここからかなり距離もあり明日の朝のことを考えるといささかめんどくさい。かといってモーテルに泊まる金はもったいない。
ここで過ごすこともできそうだけど、22時には締め出されてしまう。ただ翌朝は3時に開くのでそれまで耐えればタダだしもってこいだ。心配は治安だけだった。田舎町なので大丈夫だとは思ったがやはり心配だった。
そんな時マリットが僕の気持ちを知ってか「ここで過ごせばいい」と唐突に言い出した。僕は気持ちを決め海外初野宿をすることにした。彼は寝る場所選びから始まり夜中にトイレに起きた時は小便をしているところを人に見られてはいけない、膝をつき素早く済ませるんだぞ。それから片付けは素早く、モタモタするなとすべてをひとしきり説明してくれた。食事までシェアしてくれようとする優しさには驚いた。ブルーベリーパイがあるというので目をキラキラさせてしまったが見るとボロボロの粉状になったパン屑の様だった。彼のとっておきだったが丁寧に遠慮した。

image10時を過ぎ僕らは外に出されたそそくさと彼に言われるままに寝床を作ると、なるほどまるでホームレスの寝床だと感心した。彼らのスタイルが似通っているのには日々の知恵が活かされていたのを知った。12時を過ぎると再び冷たい雨になり冷え込みはかなりきつくなったが、ダウンの上下を着て寝袋に潜り込むとあっという間に眠りに落ちてしまった。おそらく出発してから1番の快眠だったのではないかと思うくらい。多分クマが鼻先を押し付けてクンクンしたとしても気がつかなかっただろう。目を覚ました僕はサッサと寝袋を片付け何事もなかった様に振る舞った。僕はコレで立派な野宿野郎だなとほくそ笑んだ。なにせプロのホームレス直伝の技を会得したのだから。
果たして車でキャンセル待ちの人達はあいにくフェリーが満員で乗ることは叶わなかったが僕はバイクだったので無事にフェリーに乗ることが出来た。もう一晩くらいこの冒険心溢れる経験をしても良かったかなと晴れ渡った空の下、フェリーのデッキで思い返していた。

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野宿野郎」への2件のフィードバック

  1. あおき

    私もこの仕事してから、ホームレスの方を見る目が若干変わりました。
    彼らはアウトドアで生き延びる術を知っているんだろうなと。
    お金を払ってなんでも便利に快適にいれるシステムが崩壊したとき
    生き残るのは彼らだろうなと思います。

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    1. HIDEKI 投稿作成者

      むふふ、彼らのサバイバルスキルを身につければ鬼に金棒かもね。プロ直伝の技ご希望であれば伝授しますよ

      返信

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