クジラのいる海とアナ

クジラの泳ぐ海
僕は今、フェリーの中でジュノーへ向かう楽団の練習を聴きながらこれを書いている。外にはアラスカの大地が広がり、海には船に沿って1時間以上にわたりクジラが並走しながら時折潮を吹き、大きな尾で挨拶を繰り返し続けている。周りはサンキュー、オーサムと歓声をあげている。この船に乗る日本人は多分僕一人、クジラ食のことを聞かれたら僕らの文化だと言おうさっきからボンヤリと考え事をしていた。
クジラは数頭から十数頭いて壮観な眺めを楽団のバックミュージック付きで鑑賞できた。
小学校までは給食で普通に食べていたはずなのにいつの間にか口に入ることがなくなったクジラ。特に好物だというわけではなかったが安易な動物保護の名の下に日本独自の文化そのものを否定されてしまうことに違和感を覚える。
とは言っても世界は複雑に絡み合い単純に好き嫌いでは済まないのも事実で、かく言う僕もPatagoniaの服を愛用している。旅に出る時はいつもシャツとパンツが入っている。数年前から使い始めてあちこちほころびはあるが未だ現役なのはその機能が優れているに他ならない。でもこのPatagoniaはシーシェパードのスポンサーとしてはあまり知られていない。Patagoniaが進める自然保護活動の目的に合致しているのであろうが海賊に加担している様な気になる。もう一つこの服は日本で買うと高いのだ。アメリカならなかり安い価格で買うことが可能だ、中国あたりで生産され海を渡っていくうちに何かが加算されているのだろうか、それともクジラを食べる日本人からボッたくろうと考えなのかどうにも解せない気持ちになってしまう。
クジラを食べることに抵抗はないし、保護の対象になってしまうほど少ないなら食べる必要もないと思う。しかし政治的な思惑や思想家の暴走とそれに加担する企業やセレブの行動が絡んで複雑化しすぎた問題に振り回されるのは遠慮したい。

 
imageアナ
彼女の旅はバランスよく組まれていた。ロス、サンタモニカ、サンフランシスコ、ラスベガス、シアトル、グランドキャニオン、有名な場所、イエローストーン、
バンクーバー、バンフ、ジャスパー、プリンスルパート、ジュノー、アンカレッジ
自然が好きなんだねと聞くと両方よ、自然と都会、両方とも好きなの。でもロスは嫌い。アメリカの街は全部同じつくりでしよ。ダウンタウンを中心に開けていくけど、ロスは浮浪者がたくさんいたの。それなのにビバリーヒルズは金持ちばかり、あまりにも対象的だわ。
彼女はスペインで教師をしていると言う。半年働いて半年休むシフトに変えたの。人生を楽しむ時間が必要だと思ったから。お金は減るけど私には十分、だから半年働いて2ヶ月旅をしているの。

彼女の旅は彼女のライフスタイルに似ていると思った。喧噪と静寂、労働と休息どちらもバランスのとれたものだった。彼女はことあるごとに話しかけてくれ、いろいろなことを語り合った。決して無理に深入りしようとせず、適度に距離感を保ったとても感じのいい接し方だった。僕がスペイン語を勉強するつもりだと言うと彼女はスペイン語を教えてくれた。簡単な挨拶程度だけれど教え方が上手く、とても優しい先生なんだと察しがついた。

ジュノーでは何処に泊まるのかと聞いてきたので決めていないけど雨が酷いからホステルに行ってみようと思うと答えると彼女もそこへ泊まると言う。接岸のアナウンスがあり僕は「それじゃあまた後で」と言って立ち上がった。彼女は私はお腹が空いたの、宿に着いたら何処かへ食べに行きましょ」と言ってニッコリと笑った。

ひどく冷たい雨が強く降る中ホステルに着くと彼女も丁度着いたところだった。ホステルは町外れで彼女もレストランに行く気にはなれなかったので二人で持っていた食べ物を持ち合い簡単な食事で済ませながら船での会話の続きを楽しんだ。
翌朝早い出発の僕は先に寝るよと言うと、いつかスペインに来たら私の家に寄ってねと、またあの優しい笑顔で言ってくれた。

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クジラのいる海とアナ」への3件のフィードバック

  1. あおき

    半年働いて二か月旅かあ。。
    短期間でも効率よく稼げる仕事能力がないとだめってことだよなあ。

    返信
    1. HIDEKI 投稿作成者

      能力ではないと思います。既成概念に凝り固まった日本人が今一度考えてみてもいいのではないかと思う生き方なんだと僕は思いました。でもそれをすることは日本では相当難しいのも重々承知です。出来る範囲でいいのではないでしょうかね。

      返信
  2. あおき

    ふんふん。。まさに自分の物差しを持てたら。今一度考えるべし。

    返信

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