よろず走り書き

imageアラスカの空は高く、とても手が届かないと諦める程なのに雲は低く低く垂れ込めている。ねずみ色の雲は定規で引いた様に真っ直ぐに小高い丘としか言えない山々に垂れ込め。まるで海と空の間で暮らす人々に境界線を引いている様だ。

安宿で会ったリトアニアからきたコック
彼は7年も世界を周っている。あちこちの国で働きながらお金を作っていると言う。少し東欧の訛りがある英語だが上手い。どうやって覚えたのかを聞くと人と話してビデオを見ることだと教えてくれた。
彼も南米へ行くと言う。7ケ月の予定。
翌朝、彼に何処へ向かうのかと聞くと北へと一言言って、良い旅をと付け加えた。
旅の終わりを決めずに出たにも関わらず、焦る気持ちが予定を狂わせたと感じさせているのかもしれない。上手くいかない様に見えて結果的には順調なんだとジュノーに向かうフェリーの中で考えた。フェリーの旅は独特のリズムがある。忘れかけていた乗り物に乗る高揚感を感じつつ物思いにふける時間もある。

image船の中はすでにアメリカで使う紙幣もアメリカドルに変わった。フェリーのりばのゲートで係官は予想外に親切だった。一通りのお決まりの質問と指紋を記録してすんなりと入国出来た。空路とはえらい違いに拍子抜けしてしまった。

 

 

これから向かうアラスカのシトカを知ったのはフミエさんのつぶやきだ。「アラスカならシトカがいいわ」何故かわからないがその一言が引っかかり僕の中で大きくなっていった。
アラスカ行きを悩んでいたのは、バンクーバーはカナダの一番下にあり、そこからだとかなり走らなければならなかった。シトカは飛行機で行けばいいと思っていた。

シトカはアラスカ南西部の小さな街で空路か航路でしか行くことの出来ない島。当初はロシアの領地だがアメリカに譲られたという。
調べると航空券代も船賃も変わりがない。それならばバイクと一緒に行ってみるのもいいかもしれないと思いたった。北へ向かう航路を見るとスキャグウェイという街に伸びていて、そこからだとそんなに走らなくともアンカレッジまで行けそうだとボンヤリ考えていた。

フミエさんはシトカにある古本屋でオブザバートリさんを訪ねることと、星野道夫のトーテムポールをすすめてくれた。僕は旅に目的があると俄然やる気が起きるので古本屋の主人が何者でなにをするべきなのかすらわからないし星野道夫のトーテムポールがどこにあるのかさえわからない。とにかく街は小さい様だ、バイクがあれば見つけることができるだろうくらいに考えてシトカ行きのチケットを買うことに決めた。

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