フィリピン留学19週目 「墓場のスラム街で暮らす人々」カレンのレッスンの巻

マニラ近郊のナボタスという町にある公共の墓地はスラム街として有名です。1986年エドサ革命後、政府の圧政から解放された人々は首都マニラに新たしい生活を夢見て移住を始めました。しかし彼らには仕事もなく、住むところすらありませんでした。やがて彼らはスラム街を都市部に形成するようになりました。そんなスラム街の一つがナボタスです。

フィリピンの貧困層の人々は墓地に埋葬するためのお金がありません。そこで5年契約で地上に作られた集合墓地に埋葬するのが通例となっています。そこは悪臭とゴミと野ざらしの人骨の上で遊ぶ子供たちがいる風景が日常化しています。近年、政府でさえコントロールできないほど急速に発達するフィリピン経済に取り残されてしまった被害者とも言えるナボタスに暮らす人々の生活を追ったドキュメンタリーが今回のテーマです。

日本人ジャーナリストがこのスラムを訪れるところからビデオは始まります。墓場に暮らす人々の生活と墓場として機能している風景を交互に映像として流すことにより悲惨な状況下で暮らす人々を演出しています。悲壮感漂う曲が流れ、映像に引き込まれます。僕はこのビデオの中に笑顔ではしゃぎ回る子供、賭け事に興じる大人、夕暮れの一時に涼を求めて外で談笑する人々を見ることができました。これらの風景はケソンシティーのあちこちの町で見られる光景となんら変わらない風景でした。貧困から抜け出すことのできない人々、それを利用して土地を他国の資本家に安く売り払い、巨大なショッピングモールを建設する裏で動く莫大な不明瞭な金があることは容易に汲み取ることができます。またこの国に深く根ざしたカトリックの教えと爆発的な人口増加、社会的なインフラ整備の遅れ、教育問題についても同様です。

今回、カレンとのレッスンで選んだ話題はタブーとされる政治、宗教、経済に焦点を当てざるを得ない課題です。カレンは遠慮なく話をしたいということでしたので僕なりにしっかりと準備をしました。

effect of migration
population
capitalism
cultural influence/tradition
education
resiliency

を話の中心にしながら僕の意見と質疑応答を進めていきます。時に非常にセンシティブな話になり、議論となりました。社会的背景や宗教観、独占される経済、教育の是非についてフィリピン人の気質も踏まえなければなりませんでした。

正直、僕は自信がありませんでしたが、終わってみると時間を大幅に超えるレッスンとなっていました。僕は英語でディスカッションをすることができたのです。もちろんつたない言葉で簡易にしか説明することができないので核心に触れることは難しかったのです。でも5ヶ月前の僕には到底できる話ではなかったでしょう。この2〜3日僕は自分の英語に本当に驚いています。レッスン中に冗談を言ったり、休憩時間に先生たちの談笑に巻き込まれてもすんなり返事が返せるのです。エクスプレッションもこの数日で随分と増えた気がします。喋るスピードは時に自分でも喋りながら驚くほどスムースになっていました。

最後にカレンの質問は答えに詰まりました。彼女はもし彼らにコメントを1つ挙げるとしたら何を言う?と聞かれました。

僕はちょっと考えてから

I recognize you.

と答えました。

レッスンが終わり、僕とカレン、アリスはフィリピンの国民的英雄であるボクサー「パッキャオ」の試合を見るためのスポーツバーの予約をするために町に出ました。彼らから予約について聞くように指令が出ます。いくらなのか、飲み物は含まれているのか、食べ物は付いているかなども聞くように言われます。クリアできています。2件聞いてすんなり決まりました。彼らは最初、少し心配だったようですが、つかえても僕が言い直してすぐに聞き返しているのを見て満足そうにしています。予約を終えて食事に行きます。なんと楽しいひと時なんでしょうか、僕が間違えるとすかさず二人から言い直されます。僕は全く臆することなく話ができています。僕が幸せな気分を楽しんでいると二人は訝しげに聞いてきました。僕は多分、二人にはわからないよ。こんなに幸せな気分を味わったのは久しぶりなんだと言っても、ふーんと言った顔をするだけです。でもいいんです。たとえ一時であってもこんなに充実した気分を味わえただけでこの半年近くの苦労が一気に報われました。

僕は明日、ナボタスへ行きます。この目できちんと見てみたいと思ったのです。貧困とはなんなのかこの目で確かめなければ次への展望が開くことはありません。kamomosiの次なるチャレンジの一歩を踏み出そうと思います。

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